梶原秀明前市議の過去ページ
自治体政策セミナーに参加しました
横浜市内で2月3日から5日にかけて、自治体政策セミナーが行われました。セミナーの二日目、私は、「指定管理者制度と市場化テスト」の分科会に参加しました。弁護士の城塚健之氏をメインにして、全労働省労働組合の河村氏、横浜市会議員の大貫氏、広島自治労連執行委員の大内氏からそれぞれ、指定管理者制度の現状と問題点について報告がありました。
いま、自治体が行う仕事に、民間企業が進出する動きが強まっています。日経BP社の雑誌「パブリックビジネスレポート」(05年12月号)では、「お役所仕事を奪う」と題して、指定管理者制度で、いかに「オイシイ施設を選べるかが鍵」と、公共の仕事でどうやってうまく儲けるかを解説しています。民間企業にとって「パブリックビジネス」とは、先行投資のいらない安全な投資分野と位置づけているわけです。
蕨市でも先の12月議会で、市民会館・市民体育館・市民プールなどで、指定管理者制度が導入されています。これらの施設の管理をこの四月から民間企業に代行させるわけですが、市民サービスを悪くさせないこと、指定管理者のもとで働く人々の労働条件を後退させないことが求められます。
市民のための公共施設の運営に、目先の利益を最優先する民間企業が参入する問題点について、全国の事例が紹介されました。資格試験予備校の東京リーガルマインド社は、学童保育・学習塾・英会話教室・職業訓練・就職支援などのノウハウを武器に、自治体の青少年教育分野をねらっています。同社は構造改革特区で大学を設立するそうですが、専任講師の給料は月額十万円程度とのこと。保育園に指定管理者制度を導入した文京区や大田区では、あまりの低賃金で保育士が大量退職し、園の運営ができなくなる例も出されました。
姉歯建築士の建築設計偽造など、公共の責任を放棄する例が、昨年末から相次いで起きています。市民生活の土台は国と自治体がしっかり支えるべきであること、利益最優先の民間企業に公共施設の運営をゆだねることは問題である、このような議論をいっそう強めなければならないと感じたセミナーでした。