2004年度国民健康保険決算認定への反対討論(梶原秀明)(2005年9月)
私は、日本共産党蕨市議団を代表して、2004年度国民健康保険決算認定に反対の立場から討論します。
私は、国民健康保険(国保)をめぐる2004年度の執行状況について本会議質疑で明らかにしてきました。国民健康保険法は、国保制度の目的を、第1条で、国保事業の健全な運営を確保し、もって社会保障および国民保健の向上に寄与すると定めています。
国保には、年金生活者を中心に低所得世帯が多く加入しており、所得に対する保険税の負担は、他の医療保険と比べたいへん重くなっているなか、全国的にも保険税の滞納世帯は、約2割、蕨市では22%に達しており、国保の危機が深まっているといわれる所以です。その最大の原因は、1984年の法改定で、当時国保会計の歳入の45%の国庫負担を38.5%に引き下げたことにありますが、その矛盾を、蕨市は市民に転嫁する一つとして、滞納者に対する資格証明書を発行しています。
国保加入世帯に対する資格証の発行世帯は、蕨市は約2%ですが、この水準を超えている県内の市は、川口市、八潮市、三郷市です。県内40の市の半分は、資格証明書を発行していないなか、蕨市の資格証明書発行率はワースト4位です。近隣市では、戸田市での発行は数件、鳩ヶ谷市と草加市では発行していません。
資格証明書発行世帯のうち、所得百万円以下の世帯が93%を占めている事実から、低所得者に集中していることを合わせて考えると、蕨市は県内でも資格証明書の扱いはきわめてつめたい姿勢をとっています。2004年9月の環境福祉経済常任委員会において、子どもや高齢者のいる世帯にも資格証明書を発行しているのかと私がただしたところ、国保の担当者は、医者にかかっている人、子どもがいてその子どもが病気がちな場合は、資格証明書の発行にはものすごい効果がある、との答弁があった。さらに、今議会の本会議質疑では、資格証明書世帯の15%が60歳以上世帯が明らかになり、担当部長は状況を調べると答弁したところです。
これらのことから、低所得者や、社会的弱者に対する、たいへんつめたい姿勢が、2004年度の国保の運営に見られます。
生活の厳しい市民が増えるなかで、国保税の負担は減るどころか逆に増えています。今議会の日本共産党の志村茂議員の質問に、市当局から、再来年度からの17%の国保税値上げの方向が示されたことは重大です。
日本共産党市議団は、払いたくても払えない国保税について、「相談に来ないから」という口実で資格証明書を発行することは、国保法の目的にも反するものと考える。資格証明書の発行は、悪質滞納者に限ること、国民健康保険税の減免制度を拡充すること、国保の医療費自己負担分の減免の対象を、生活保護基準の1.3倍に拡充することを求めます。
以上、蕨市の国保税度の運用に抗議を述べて、合わせて、市民生活によりそった対応を求めて、反対討論とします。
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