梶原秀明前市議の過去ページ
6月定例議会の一般質問、1回目の発言(全文)
日本共産党の梶原秀明です。
私は通告している6点について質問します。
まず、違法公金支出返還請求裁判についてです。これは一昨年の11月、市議会総務常任委員会の行政視察中に、当時の二人の議員が、視察の二日目、予定先に行かず、近くの競艇場に行っていたことについて、市民から「市長は視察のための旅費の半額の返還を二人に求めるべき」との裁判が起こされたものです。去る、5月31日に出た判決は、原告の市民の訴えを全面的に認め、「両議員の競艇場訪問は公務といえないので、支給した旅費の半額の返還を両氏に求めなさい」というものでした。6月1日の市長報告で市長は、裁判について控訴するかどうかは表明しませんでした。控訴するには議会の同意が必要ですが、日本共産党蕨市議団は控訴すべきでないとの立場で、議会内の二つの会派と話し合いをもち、もし市長が控訴を求める議案を提出した場合には、反対することを申し合わせました。そして週明けの5日、市長は、控訴しないことを発表したわけです。
裁判より前に、市民から住民監査請求が出されたのが昨年の1月24日でした。2ヶ月後の3月25日に監査結果が出ましたが、「両議員の視察は常任委員会の所管事項ではないとはいえない」として、監査委員会は市民の監査請求を棄却しました。市民の請求の主要点は、「両議員の行為は法令違反」ということでしたが、監査結果は、競艇場視察が総務常任委員会の所管事項であるか否かに、問題を限定して、法令や条規に反したかどうかの審査を十分にはしなかったのではないか、と私は、監査結果に疑問を持っています。
昨年6月の議会で、この監査結果を出した監査委員を再び選任したいとの議案が市長から出された際、日本共産党は、監査結果は納得できないものであり、この監査を行った監査委員を再び選任することに同意できないとして、反対を表明したところです。
市民は監査結果を不服として後日提訴したわけですが、日本共産党市議団は、原告の市民の立場を支持し、この裁判を見守ってきました。裁判の中で市長は、議長職であるものは視察の途中で予定を変更する権限を持っているとか、舟券の購入は発券システムを視察したものだ、などの理由を述べて、競艇場での二人の行為は公的なものだと主張したのです。
そこで第一にうかがいたいのは、市長は控訴しないと5日に決めたそうですが、それならば、市長が裁判の中で行なったこの主張は間違っていたと今は考えているのかどうか。それとも、控訴しないと決めたのは、控訴を求める議案を出しても可決する見込みがないので、しぶしぶそう決めただけであって、裁判での主張をいまでも正しいと考えているのかどうかであります。第二に、この裁判で市が要した費用。第三に公金の返還をいつ請求するのか。第四に、本裁判にかかわる住民監査請求を監査委員会は棄却し、結果として判決と異なる結果になりましたが、市長はこの監査結果をどう評価し、一方、監査委員は先日の判決結果をどう評価しているか。
次に、障害者自立支援法の施行に伴う市民の負担増とその軽減策を検討することについてです。障害者のサービス利用に原則1割の応益負担をかす障害者自立支援法が4月に施行されています。日本共産党国会議員団は、全国40都道府県230施設を無作為抽出した実態調査を行ない、7日に、実態調査に基づく緊急要求を発表し、利用者の負担を軽減することなどの制度の改善要求をしています。蕨市内でも、従来は無料だった利用料などが、この4月から1万4千円になっている例があります。国は、低所得者向けの減免対策をしているから必要なサービスが削られることはないと言っていますが、税金が納められないほどの生活を送っている世帯に、月額1万4千円、年間約17万円の負担増はたえられません。国の減免が受けられない世帯では、月額3万円、年額40万円ちかい負担です。国会議員団の緊急調査では、回答のあった212の施設において、負担増に耐えられず施設の利用を断念した人が65人、中止を検討する人は111人にのぼっています。
そこで第一に、蕨市独自の軽減策の実施を求めます。(2) 市は、市民の負担増の実態をどう把握しているか。(3) 障害者福祉計画の作成にあたり、当事者とその家族・施設職員・市民の意見聴取をどう進めているか。(4) 障害程度区分の認定を行なう審査会の委員に当事者やその家族など、「障害」の理解ができる人を加えるべきと考えるがどうか。
3番めとして、集合住宅・マンションへの行政の支援についてです。いま、分譲マンションは全国で460万世帯をこえて増えつづけ、約1200万人が暮らす場となり、国民の主要な居住スタイルとなっています。蕨市内の住宅は約3万世帯ですが、そのうち3階建て以上の集合住宅は約12000世帯であり、このうち半分が分譲マンションだと考えると、市内の世帯の2割は、分譲マンションに住んでいると推測されます。
マンションは戸建て住宅と条件が大きく異なります。戸建て住宅では家の外は行政が責任を持ちますが、マンションでは、廊下や階段やエレベーター、給排水設備、駐車場など、区分所有者、すなわち住民の管理に任されています。マンション居住者は管理組合の構成員として、共用部分の維持管理、積立金の管理、防災計画や長期修繕計画の立案と執行、など、戸建て住宅とは異なる、深い専門知識を要する複雑な業務を住民の責任でこなすことを強いられてもいます。
このようなマンションの管理組合に、まちづくりの視点から、行政がどのように支援していったらいいのか市の見解を求めます。
(1) 規模が大きくまちづくりへの影響が大きいマンションの公共性についてどう考えているか。
(2) 市内のマンションには築20年を過ぎる建物が増えてきている。長期修繕計画や建て替えなど、独特の管理の困難さがあるマンションに対して、実態調査を行っているか。もし調査が不十分ならば行なうべきと思いますが市の考えはどうか。
(3) マンション管理組合へのさまざまな支援や助成について。
(4) マンションなど集合住宅のアスベスト使用実態をどう把握しているか。
4番目に、定員を大きく上回っている北町と南町の学童保育室の増設を求める立場から質問します。
市内の学童保育室の定員はいずれも40人であるのに対して、登録児童数は、北町地区と南町地区でそれぞれ61人、塚越地区で45人です。登録児童や入室希望が定員を大きく上回る、北町と南町については、その増設を検討すべきと考えますので、市の見解をうかがいます。
第五に、三十人学級の推進についてです。
少人数学級は国民の強い教育要求であり、すでに45道府県にひろがっています。しかし、国の制度が「40人学級」のままで少人数学級への財政的保障がないため、本格的な実施ができないでいます。
今月1日の衆院教育基本法特別委員会で、日本共産党の石井郁子議員が少人数学級実施の決断を求めたのに対し、小泉首相は「私も少人数のほうがいいと思っている」と答弁しました。
世界をみると、イギリスの1、2年生は30人以下、ドイツは18人以下ないし30人以下。イタリアは25人以下、カナダ24人以下、ロシアも25人以下、「学力世界一」で注目をあつめるフィンランドは24人以下、など、30人以下学級は当たり前の流れです。これにたいして日本は31人以上の学級が、小学校で48%、中学校で81%も残されています。市内の状況も同様です。特に北小はすべてのクラスが31人以上になっています。
そこで、先進国では当たり前になっている30人学級に向かうため、国・県に支援を求めるとともに、市独自に30人から35人程度の少人数学級を実現すべきと考えます。今年度でみれば、市独自に教師を3人増やせば、小学4年生まで35人学級が実現できます。すなわち、西小の3年生、南小の4年生、塚越小の4年生です。来年度実施する意思はないか。
最後に、水害対策についてです。
(1) 三月議会で、今年度早い時期に行うとされた北町地域水害対策調査の現状と今後の見通しはどうか。
(2) この調査委託の詳細な内容と、委託先について
(3) 水害時の初動体制について
以上おたずねして、1回目の発言とします。