特養ホーム内の現金紛失事件で市民と寧幸会が和解 - 昨年の議会で梶原市議が言及(7月27日)
1990年(平成2年)に特別養護老人ホームサンクチュアリ内で入所者(Aさん)の所持金4万円が紛失した事件で、7月28日、Aさんと、ホームを運営する寧幸会(ねいこうかい)(田中啓一理事長)との間で調停が成立しました。さいたま簡易裁判所の調停調書によると「寧幸会はAさんに対して解決金として4万円の支払い義務があることを認め」、8月末までにAさんに4万円が支払われます。
この問題は、昨年6月議会で梶原市議が一般質問で取り上げたもの。Aさんの親族が6万円を本人に渡し、ホーム職員の助言を受け、2万円を自分で所持し、残り4万円を銀行口座に入れようと職員に預けたが、通帳に4万円が記載されなかったというもの。梶原議員の質問に田中理事長(市長)は、「古い話で解明できない。不届きな点は情報公開で調査してほしい」と述べ、責任者として真相を究明する姿勢を示しませんでした。
その後、Aさんの代理人(Bさん)は、埼玉県運営適正化委員会(福祉サービスの苦情相談窓口)、寧幸会の第三者委員、蕨市人権擁護委員などへ、人権侵害の救済を訴えましたが、「調査できない」などの理由で、いずれも門前払いでした。「もはやお金は返ってこなくてもいい。せめて施設側は私に謝罪してほしい」とのAさんの願いを受けてBさんは、当時の事情を知る人の証言などを集めて、5月に裁判所に調停の申し立てをし、今回の決定にいたったものです。
代理人のBさんは「寧幸会からの謝罪はないが、紛失した全額と同額を解決金として支払わせたことは大きな成果。寧幸会は誤りを認めたと言える」と、話しています。
高齢者用の福祉施設は閉鎖的になりがちで、利用者にとって不満や問題があっても、なかなか声が出せない雰囲気があります。厳しい労働実態が指摘される施設職員の、はたらく条件をよくするとともに、施設利用者の意見・要望を取り上げる公的な場が求められます。
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