9月議会の一般質問 - 障害者自立支援法・水害対策・駅へのエレベーター設置(9月21日)
9月21日に行なった一般質問の1回目の発言は次のとおりです。答弁内容など随時報告いたします。
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1、障害者自立支援法に伴う利用者の負担の軽減について
障害者自立支援法が四月に施行されて約半年がたちました。福祉サービスに原則1割の応益負担が導入され、通所施設の場合では、無料だった利用料が、食費を含んで、月に2万円から3万円にもなる大幅な負担となっています。「自立支援ではなく、自立の阻害だ」という批判の声が、あらためて上がっています。この問題で日本共産党蕨市議団は、3月議会の一般質問で山脇議員が、6月議会の一般質問では、私が、とりあげ、利用者の負担増に対して、蕨市独自の軽減策を求めました。市当局の答弁は、「市民への負担増などの影響はまだ把握できる段階ではない。早急な対応は難しい」というものでした。
私は先日、蕨市社会福祉総合センターにある、三つの障害者福祉施設、レインボー松原、ハート松原、ドリーマ松原の利用者の実態をヒアリングしました。レインボーでは、37人の利用者のうち、3月まで利用料が無料だった人は36人、しかし法施行後のいまは、施設利用料と食費を合わせて、月平均で1万8千円の負担になっています。ハート松原では、19人の利用者全員が従来は無料でした。しかし今は約2万1千円の負担です。また、レインボーでは、就労的な訓練としてパンや化粧箱の製造・販売などを行なっていますが、そのための工賃は、月平均1万7千円とのことでした。工賃収入を上回る利用料負担が、働く意欲をなくし施設利用を断念し、家に閉じこもる障害者が全国的に相次いでいることが報じられています。蕨市ではそのような実態はないと、先の6月議会で私の質問に説明がありましたが、各施設で、利用者と家族の経済的負担はどうなったのか、どんな要望が出ているのか、福祉サービスに責任を負うべき市は、実態をきちんと把握してほしいと思います。
いま、障害者とその家族、施設関係者から、負担の軽減を求める要求を受けて、自治体が独自の施策を行なっています。そういう自治体は、この春の段階で、8都府県と242市区町村、その後、増えつづけています。関東で大きいところでは、東京都と横浜市・川崎市、県内では、朝霞市・志木市・新座市・草加市で実施しています。また、いま開かれているさいたま市議会には請願が出されました。5万7千人の署名を沿えて提出されたこの請願は、「障害者自立支援法による障害福祉サービス・障害者自立支援医療・補そう具にかかる利用者負担について、さいたま市独自の負担軽減策を講じてください」と要望しています。
障害者と家族・事業者を苦しめているのは、応益負担の導入です。障害が重く、多くの支援を必要とする人ほど重い利用料負担を強いる応益負担は、社会福祉の理念に反すると考えます。日本共産党は、今年2月と6月、二度にわたって「緊急要求」を発表し、8月には国会議員団が政府に対して、応益負担の撤回、障害者自立支援法の抜本的見直し、利用者負担の軽減、事業報酬の改善を申し入れました。私は、法律の改善を求めるとともに、蕨市が独自の軽減策を実施すべきとの考えから、以下4点質問します。
1−1 4月からの一割負担によって利用を控える傾向が強まっている。利用者の実態をどう捉えているか。
1−2 国の定めた低所得者向け軽減策では不十分なため、独自の軽減策を決める自治体が増えている。蕨市の検討状況はどうか。
1−3 報酬削減や日額制導入による施設経営への影響をどう考えているか。
1−4 厚労省試算では、応益負担導入で、利用者の新たな負担は205億円とされる。その分市の負担が減るのだから、独自の軽減策はとれるではないか。
2、地域防災計画と水害対策
昨年9月の水害は記憶に新しい。昨年9月議会では多くの議員が水害をはじめとする防災対策について、改善を求めたところです。日本共産党も、このとき、私かじわらと志村茂議員・鈴木さとし議員が、蕨市地域防災計画、初動体制の課題と改善策、雨水調整地の設置、L型側溝の改善などを求めました。つづく12月議会、3月議会、6月議会と連続して取り上げてきました。
さて、今月1日に、蕨市地域防災計画改定素案が公表されました。およそ十年ぶりに改定されるこの計画、改定にあたり市民からの意見募集を今月30日まで行なうとされています。私もこの素案を読ませていただきました。第1編が総論、他に、震災対策、風水害対策、大規模事故災害対策、東海地震の警戒宣言に伴う対応、の計5編から構成されて、そのうち特に風水害対策編について、今回は取り上げます。この計画、まだ素案の段階であり、率直に言って、内容が抽象的、何をどういう優先順位、スケジュールで行なっていくのか、財政措置などはほとんど不明であります。
また、昨年の9月4日の水害などを受けて、11月に水害対策の中間報告が出されたわけですが、この中間報告と、蕨市の新しい地域防災計画の整合性について確認したいと思います。さらには、この計画を元にして、今後各庁内部署において、さらには民間業者、市民の協力もいただきながら、計画を具体的にしていくと思いますが、その内容についておたずねします。
そこで質問は4点です。
2−1 地域防災計画策定状況について
2−2 水害対策として早急に解決すべき課題(民間業者契約、土のう配備、情報に関する体制、防疫体制、要援護者の安全確保)
2−3 長期課題とされる調整池の整備について、19年度の見とおしは。
2−4 財政支出は今後どれほどか
3、エレベーター
交通バリアフリー法が成立して6年が経過しました。そして、先の通常国会では、いわゆるバリアフリー新法が全会一致で可決、制定されています。バリアフリー新法は、建物のバリアフリー化を進めるハートビル法と、「駅を中心とした旅客施設」のバリアフリー化を進める交通バリアフリー法を統合して、対象施設を追加、協議会制度の新設などを行ない、高齢者や障害者の、自立的な社会生活の確保を目的として、社会資本の整備を進めるための法律であります。
いうまでもなく蕨駅は、市内で最も多くの人が利用する、公共的な施設です。高齢者や障害者、さらには、ベビーカーを使っている子育て中の市民が、公共的な交通機関を利用する場合に、その移動を円滑に行なうことが、法の最大の目的です。ところが、蕨駅にはいまだに、エレベーターの設置計画すらありません。近隣の状況を見てみると、川口市は、川口駅東口のエレベーターを今年の5月に、西川口駅西口に自由通路との一体的な整備により、昨年5月エレベーターをそれぞれ設置しました。さいたま市は、2年前から鉄道改善対策事業を行ない、市内すべての駅、30にも及びますが、これらのバリアフリー化を法に基づき、2010年度までに達成する目標で事業を進めています。これら川口市やさいたま市の例を見ると、設置計画すら持たない蕨市の対応の遅れは一目瞭然です。
市長は、蕨駅は蕨市民だけが利用しているのではない、自由通路のほとんどはJR利用者が使うのだから、JRが主体となってエレベーターを設置すべきである、という主張を繰り返していますが、逆に、西川口駅などは蕨市民も利用していますし、自由通路についての事情はほかの駅も同様であります。蕨駅だけ、蕨市だけ、近隣駅と異なる方法で設置せよというだけでは、いつまでたってもエレベーターは実現しません。
蕨駅にエレベーター設置を求める市民の会は、7月15日に市内パレードを行ないアピールを発表しています。アピールでは、「JR東日本と蕨市はさまざまな課題を乗り越え、蕨駅へのエレベーターの設置を決断すべき」としています。そして蕨市に対しては、「他のJR駅と同様に、駅改札から外側のエレベーター設置費用を支出する決断」を求めています。一方JRに対しては、「設置実現に向けて、最大限の財政負担と、蕨市との精力的な話し合い」を求めています。このアピールは8月に、蕨市あて、JR東日本あて、それぞれ、提出されたとのことです。
市議会でこの問題を日本共産党は、昨年9月議会と12月議会、そして今年6月議会で、鈴木さとし議員が取り上げてきましたが、その議論もふまえて、今回改めて質問するものです。
3−1 今年に入って4月25日に蕨市とJRとの話し合いがされていますが、6月議会以降の交渉・話し合いの状況はどうか。また、6月議会で天野参事は、「エレベーターの設置場所や方法などの検討のため、中身の濃い具体的な情報をJRから提供してもらい、検討を重ねていきたい」と答えています。JRから受けている具体的な情報。
3−2 近隣駅での設置状況と自治体の費用負担状況
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