梶原秀明前市議の過去ページ
index
母子加算の廃止に反対する意見書への賛成討論【3月市議会】

私は日本共産党を代表して、母子加算の廃止に反対する意見書を求める請願に、賛成の立場から討論します。

16歳以上の子を養育する母子家庭への母子加算が05年度から3年で廃止となり、15歳以下の世帯については、07年度から3年で段階的に廃止しようとしています。母子加算廃止の理由として、厚生労働省は、@保護を受けていない世帯の実所得が、受けている世帯の実所得を下回っていること、A母子世帯という外形要件だけの加算はニーズに応じたものでなく保護の実効性を損ない、受給者世帯間での不平等を招く、としています。しかし第一の点は、主張そのものが全く逆転しており、生活保護水準が高いのではなく、一般的な母子家庭の所得水準が低すぎることが問題です。第二の点は、そもそも加算が、対象とする層の特殊需要の平均的経費として設定されているはずです。それを廃止するのは無理があります。現在でも障害者加算は、実際のニーズではなく、障害程度区分により平均的経費として、定額の加算がされています。厚生労働省の理由には道理がありません。

いま、日本社会では、国民の貧困と共に、子どもの貧困が広がっています。OECD(経済協力開発機構)が、昨年七月に発表した対日経済審査報告書に、日本の子どもの貧困について次のように述べています。「学校教育や塾の費用の高さを考慮すると、貧しい家庭の子どもは不十分な教育しか受けられず、それゆえ、成長の可能性が阻まれがちで、貧困が次の世代に引き継がれていく危険にさらされている」。OECDの報告書では、日本の子ども一人の母子世帯での貧困ラインは、手取りで195万円とされていますが、そのライン以下で暮らしている子どもが、58%もあります。OECD平均が21%、貧困率が高いアメリカでさえ40%、カナダ28%と比べても異常に高い。多くの母子世帯は、昼の仕事だけでは生活できない。昼も夜も働き、そのなかで子どもたちと向かい合う時間をどうやってつくりだすかで、日々悩み苦しんでいます。

政府における、母子加算廃止の本当の狙いは、社会保障費を抑制しようという、「構造改革」路線の元、国民の最低生活費の水準をいっそうきり縮め、憲法25条で定める国民の社会福利の向上への国の責任を後退させることにあります。最低生活水準を下げることで、課税最低減の水準や、最低年金水準、さらには賃金の水準を、下げるてこにも使われ、国民生活全体の水準を切り下げることにつながります。

生活保護法第9条は、「必要即応」の原則をあげて、「最低生活保障のために世帯などの個別のニーズを測定・評価し、その充足をはかること」を、福祉事務所に求めていますが、母子加算廃止は、この原則に反するものです。

そして、生活保護費を、「無駄な経費」ととらえるような、意識が一部職員の間に散見されることも問題です。被保護世帯の中には様々な困難事例が増え、福祉の専門教育を受けていない職員が十分に対応しきれない状況も見られます。自治体本来の役割である「住民の命と生活」を守るという姿勢が薄れ、経営や効率が最優先で行政が進められることで、福祉事務所の現場が荒廃し、生活保護行政の質が下がっているともいえます。

生活保護のこれ以上の改悪を許さないとともに、失業や不安定な働き方をさせられている市民を支援するため、「入りやすく、出やすい」保護制度の導入、くらしの実態や願いに合った、制度のあり方や運用を考えることが必要です。

以上の観点から、生活保護の母子加算の廃止には同意できず、母子加算廃止に反対の意見書を国に出すことに賛成ですので、当請願に日本共産党を代表して賛成します。