「これくらいなら返せると思った」- 多重債務の仕組みとその救済方法 -弁護士事務所の実務学習会(6月23日、かじわら秀明)
6月23日夜、埼玉総合法律事務所主催による第1回実務学習会が浦和で行なわれ、参加してきました。
「最近の多重債務の仕組みとその救済方法」と題して、中村弘毅弁護士が講演。多重債務の背景、最近の法律改定など、基本事項を説明したあと、多重債務の具体的な解決方法として、自身の実践にもとづき縦横に語りました。中村氏の扱う債務整理は年間2百件。過払い金の回収総額は、昨年1年で2億3千万円です。はじめは2万円、3万円程度から始まる借金。だれもが「これくらいなら返せる」と考えますが、追い貸しと高利で、やがて100万、200万とふくらむのが、こわいところです。
破産、個人再生、任意整理、それぞれの特徴と、どんな人が向いているかなど各論を展開。さらに、過払い金の回収について、交渉と訴訟の利得、業者も相手を見て対策を立てる具体例(当事者本人による交渉や訴訟は極力避けたほうがいいこと)、取引期間が長期にわたる場合の考え方と対策、判例の利用方法など、全国屈指の経験者ならではの講演でした。
講演に先立ち、牧野事務所長があいさつ。弁護士14人、スタッフ24人を擁する県内最大の法律事務所になり、日頃から協力をいただいている団体の皆さんへ、事務所の活動成果を還元したい、無料の出前講座も行ないたいと語りました。この日は、消費生活相談をしている団体、民主商工会、日本共産党の蕨・戸田・鳩ヶ谷・川口・さいたま各市議団などから多数が参加していました。
私のところにも債務相談が寄せられます。判例解釈や回収実務は弁護士と協力しつつ、債務者の生活再建を支援する活動も重要となっています。
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