梶原秀明前市議の過去ページ
index
【9月議会】市長提出議案は全て全員一致可決。民商提出請願が採択される - 9月議会閉会

9月1日から開かれていた9月定例議会が、本日30日閉会しました。市長提出議案は、補正予算、決算認定など17件。全ての議案は、全会派の賛成で、可決されました。また、市民からの請願・陳情は、民主商工会婦人部の【所得税法56条の廃止を求める請願】が、賛成9(日本共産党4、公明党3、民主党2)、反対8(新生会)で採択され、意見書案をとりまとめた後、政府に提出する意見書を可決しました。埼玉土建組合蕨戸田支部からの請願【消費税の税率引き上げ反対の請願】は、日本共産党のみの賛成で不採択となりました。さらに、蕨市生活と健康を守る会からの【母子加算の復活を求める陳情】は、賛成6(日本共産党と民主党)、反対11(新生会と公明党)で不採択となりました。梶原市議は、本日の本会議で、本陳情への賛成討論を行いました。討論内容は次のとおりです。
---梶原市議の賛成討論---

日本共産党蕨市議団を代表して、【母子加算の復活を求める陳情】に賛成の立場から討論する。

そもそも母子加算は、1949年に、子育てを1人でする母親には、追加的な栄養などが必要であることを理由として創設されました。1980年の社会保障審議会生活保護分科会中間的とりまとめでは、「配偶者が欠けた状態にあるものが行う児童の養育には、通常以上の労働に伴う増加エネルギーの補填、社会参加に伴う被服費、片親がいない子どもの精神的負担を和らげる費用などが、余分に必要になる」としていたものです。

ところが、いわゆる小泉構造改革によって、社会保障費削減ありきの政治が進められ、2005年度から2007年度までで、まず、16歳以上の子を養育する世帯から、そして、2007年度から2009年度までで、15歳以下の子を養育する世帯から、母子加算を次々と打ち切っていきました。その根拠とされたのが、社会保障審議会生活保護精度のあり方に関する専門委員会の議論でした。一般の母子世帯と、生活保護を受けている母子世帯との収入を比較して、一般の母子世帯のほうが低い、という説明がされたものです。ところが今年になって、根拠となった一般母子世帯のデータは、子ども1人の世帯が32世帯、2人の世帯が57世帯とわずかであり、「資料の数値が統計的に有意であるかは確認できない」と今年6月22日、民主党議員の質問に政府が答えるなど、その根拠はくずれています。そもそも、母子世帯の所得は児童手当を含めても243万円、世帯全体の平均、556万円の、44%に過ぎず、母子世帯全体の収入が低いこと自体が問題であり、母子世帯全体の底上げこそ求められています。

母子加算が廃止されたことの問題点を二つ、指摘します。母子加算の廃止によって、その加算分、生活保護の基準が切り下げられました。このことによって、第一に、従来の基準では生活保護を受ける権利があった世帯のうち、受けられなくなった世帯が出たことになり、貧困を一層進めることになります。第二に、生活保護基準をもとにして設けられている様々な制度の条件が悪くなります。国保税と医療費の一部負担分の減免基準、介護保険料、障害者医療費の減免基準、小中学生の就学援助基準、などが悪くなります。

さて、16日に新しい政権が発足し、翌17日には、国会で、母子加算の復活など、切り下げられた社会保障の復活を求める市民集会が行なわれました。ここには、多くの党派の国会議員が参加し、あいさつや決意表明をしたと聞いています。地方議会でも、母子加算復活を求める声が広がっています。岩手県議会は意見書を可決、京田辺市では全会一致で意見書を可決しています。東京・町田市議会は9日の本会議で、母子加算と老齢加算の復活を求める意見書を採択し、これには公明党議員も賛成しました。北海道・北斗市議会は15日、圧倒的多数の賛成で意見書が採択されています。

蕨市議会でも、2004年(平成16年)12月市議会で、陳情第3号「生活保護の国庫補助の削減と基準引き下げの中止を求める陳情書」が賛成多数で採択され、国に意見書が出されました。この意見書では、第一に、生活保護への国庫負担を削減しないこと、第二に、「物価スライド」による生活扶助基準の引き下げを中止すること、第三に、老齢加算の削減・廃止は中止し、母子加算の廃止をしないこと、以上3点を求めたものです。当時の市民ネット21会派は賛成しましたが、当時の新政会は、環境福祉経済常任委員会の討論で、「国の動向を見ながら対応を検討すべきであると考えるので反対」と述べていました。いまや、国の動向は、母子加算復活の方向へ変わりました。

蕨市議会からも、新政権に対して、貧困対策を着実に実施することを求める、その1つとして、一刻も早い母子加算の復活を求めるべきと考えます。以上の理由により、陳情に賛成するものです。