梶原秀明前市議の過去ページ
index
わたしも原発を考える(10月23日)

「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」1960年、科学技術庁委託調査レポート
「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」1960年、科学技術庁委託調査レポート
福島第一原発事故以来、たくさんの文献、雑誌論文や単行本に目を通しています。共産党埼玉県委員会主催の野口邦和氏(日大講師)の講演も2ヶ月ほど前でしたかに聞いて、参考にしています。

今月30日に蕨に広瀬隆氏が来るとの企画を知ったのは、1ヶ月ほど前でしたでしょうか。最近ようやくポスターも張り出されて、たくさんの市民が、会場の市民会館に来てほしい、原発問題に対し歴代政府がどれほどのうそをついていたか、原発に関する利益を得るためにどれほどの人々が、いわば「原発利権」に群がっていたのか、知っていただき、ともに考えてほしい。この一心で、私も微力ながら、講演会の成功に向けて行動しています。

8月1日、日本共産党89周年記念演説で、1960年に当時の科学技術庁が日本原子力産業会議に委託してまとめたレポートを紹介しています。茨城県東海原発が重大事故を起こした場合の被害を推定したものですが、あまりの被害の大きさに、当時の政府はこのレポートを隠し続けたのです。1999年にやっと存在を認めました。雑誌「前衛」10月号に、その全貌が載っています。ぜひお読みください。
レポートの目次
レポートの目次

広瀬隆さんといえば「東京に原発を!」ですね。1981年に出版されたようですが、私はおそらく、86年にチェルノブイリ事故が起きた後に改版されたのを読んだのかもしれませんが、その衝撃的なタイトルにひかれて無心に読んだ記憶があります。

蕨の図書館で検索すると、広瀬氏の原発関連著作はいくつかありますが、6月議会の準備で図書館に行ったとき、受付のところに原発関連書籍を並べていた中に広瀬氏の「原子炉時限爆弾 - 大地震におびえる日本列島」があり、発行日が2010年8月と新しかったので、最近の主張を読んでおこうと借りた次第です。(残念ながら、「東京に原発を!」は本日現在蕨市図書館にありません。)

また、昨日、近所の本屋をのぞくと「福島原発メルトダウン」があったので、早速購入。私の感じた新しい知見としては、内部被爆を過小評価してはいけない、ことを強く訴えているということでした。空中や地面の放射能は徐々に減っていくけれど、いったん体内に入った放射性物質は恐ろしいほどの破壊力を持つということです。30日の講演会では、この点を強調されるのかもしれません。もう一つは、満身の怒りを込めて(これ、7月の国会での東大の児玉教授の発言ですね)、うそをつき続けた政府と東京電力と御用学者を批判していることです。私は公的な立場の議員として、露骨で口汚い言葉づかいはしないよう心がけていますが、そんなことにはお構いなしに批判している氏の発言には、よい意味、悪い意味、両面から、考えさせられます。氏は、原発がなくても電力はまかなえると論じていますが、これも重要な論点です。昨日ラジオを聴いていると、関西電力がこの冬の節電10%を方針にしたとNHKが報じてましたが、電力会社の言うことをまともに信じることはできません。
左は、武谷三男編「原子力発電」1976年、右は、広瀬隆著「福島原発メルトダウン」2011年
左は、武谷三男編「原子力発電」1976年、右は、広瀬隆著「福島原発メルトダウン」2011年

最後に、もう一つ面白いことがありました。3月11日の地震で、私の自宅の本棚も崩れたわけですが、その中に岩波新書「原子力発電(武谷三男編)」がありました。古い文献だし、いろいろ忙しく、無視していましたが、昨日の夜、目を通してみました。出版は1976年。伊東書房160円の値札が張ってあります。武蔵小金井駅北口の古本屋でしょう。学生時代(1981年4月から1985年3月)に読んだもののようです。武谷三男氏は「序にかえて」で述べていました。「原子力はまだ人類の味方ではなく、恐ろしい敵なのである。日本の諸所方々に建設され、さらに計画されている大型の原子力発電所が何をもたらすだろうか。...われわれは無関心でいるわけにはいかない」「結論的にいうと、原子力平和利用は一方において、原水爆を克服しない限り、人類のものとはならない。他方において、世界で利潤機構が本質的な役割を果たしている限り、人類を蝕む脅威をますます増大させていくだろう」。利潤機構とは、まぎれもなく、企業の儲けのための原発ではありませんか。70年代に指摘されていたことがいまだ反省されず、それどころか危険性が隠され、ますます矛盾を深め、生活を壊すリスクが増大しているのです。

もっと考えたいこともあるのですが、今日はもう遅くなりました。また何かの折に書いてみたいと思います。