梶原秀明前市議の過去ページ
埼玉資本論講座(1月12日)
窓から望む県立図書館
12日、浦和にある埼玉会館で標題の教室が始まりました。月1回、13回シリーズで、「資本論」第2部を扱います。講師は首都大学東京の名誉教授、宮川彰氏です。4時間を3コマに分けて講師が解説、質問・意見は、次回までに提出し、講義の冒頭で前回の受講者の質問に答えるというスタイルです。
1回目は、いわば入門編。資本論第1部が資本の生産過程を扱い剰余価値論が豊富に展開されるのに対して、第2部は資本の流通過程を扱います。生産された商品がどのように消費者の元にあらわれ、資本の姿が商品から貨幣へと転換するのかが課題です。商品が期待通りに貨幣になるのか、つまり期待通り売れるのか、これを第1部でマルクスは「命がけの飛躍」だと表現したわけですが、この問題が資本論第2部で扱われます。
この日の講義の1コマ目と、2コマ目の前半では、最近の食品偽装問題を取り上げ、資本論第1部で展開された「特別剰余価値」であることを説明しました。高島屋、東急ホテルズ、ミートホープ、マルハニチロなどの事態を科学的経済学の目でどうみるのか、興味深いコメントと聞くことができました。
2コマ目後半と3コマ目では、資本論第2部で扱う「流通」の意義について。究極のその目的は、コストを最小限に下げることにあること。生産された商品が市場で認知され、販売が完了してこそ資本の運動を終えることができます。流通コストを下げる具体例として、カタログ販売、コンビニのPOSシステム、ジャパネットタカタのテレビ通販、アスクル、カウネット、インターネット販売、などをあげました。さらには、かつて佐川急便グループが流通経費を抑えるために公道を倉庫代わりに違法に使っていた事例も紹介し解説しました。
次回は、いよいよ資本論本文に入ります。資本論第2部はマルクスが死去してから、遺稿を元に盟友エンゲルスが編集したものなのですが、編集者であるエンゲルスの「序言」と、第1章「貨幣資本の循環」がテーマです。教室の窓から見える隣の埼玉県立図書館の建物と欅がきれいでした(写真)。