何をやっているのか分かる議会にしてほしい - 片山元総務大臣の講演を聞く - 市会議員 かじわら秀明(1月16日)
16日に戸田市文化会館で埼玉県市議会一区議長会の研修会があり、講演者が元総務大臣の片山善博氏ということもあり出席しました。片山氏の専門は地方自治で、「日本の民主主義を草の根からつくるのは地方議会。その議会に期待している」と話を切り出しました。また、片山氏は「中央公論」の2012年9月号で「日本には共産党などを除くと政党らしい政党は事実上ない」と論評し、日本共産党の誠実さが、党派を超えて共感を得ていると当時話題にもなりました。
講演で印象に残った論点を紹介します。第一は昨年1月の埼玉県での教員の駆け込み退職問題です。1月末に退職すると退職金が150万円多くなるような条例を県知事が提案しておいて、実際に退職者が出るとその知事が「不快」だとの表明を行なったことに唖然としたとのことです。議案を出した知事も悪いが、それを通した県議会に最終責任があると述べます。議員が執行部の説明を鵜呑みにして議会で発言しない、調査もしないからこういうことになると、手厳しく県議会の体たらくを批判しました。(日本共産党埼玉県議団は、警察官や教職員を含む6万人に影響が及ぶことや、「被災地の復興支援や県民サービスに懸命に働く職員の士気をそぐものである」と指摘して、議案に反対しました。)議案の内容を議員がわからないなら、現場の担当者に意見を聴くべきと、公聴会の重要性を指摘しました。
教育委員会存廃論にも言及
第二は教育委員会制度です。政府は今年の通常国会に教育委員会制度を変える法律を準備しているとされますが、片山氏は、教育委員会を首長の下に置いたらだめだと述べます。永い営みである教育には、4年ごとに変わる首長に支配されない自立性が必要だからです。しかし、多くの教育委員会で委員が名誉職化し、まともに仕事をしていないことも批判し、せめて議会で「あなたはいじめが起きたときに解決する気概があるか。そのために時間をさけるか」ぐらいの質問を委員候補にしてほしいと期待しました。
第三は、議会の広報制度の批判です。氏は東京港区に住み「港区議会報」も「都議会報」も読むが、いつ何を審議するのか、何を決めたのかまったく不明だといいます。「図書館条例の一部を改正する条例」が可決したのはわかるが、それが悪くなったのか良くなったのかはわからない。氏は図書館への関心が強く、図書館に指定管理者制度を導入することには反対だが、議会報を見てもそれがわからない、ということでした。
講演後の質疑応答では私から、市議会の公聴会の事例について質問しました。氏の講演は日本共産党の政策や議会改革の主張と多くの共通点もあり、大いに参考になるものでした。何をやっているのかわかる議会にすべき、一般質問ではなく議案中心の議会運営、現場の当事者の参加で議案を決める前に意見を聴く議会であってほしいとの意見は、現在議会改革特別委員会で議論している方向とも重なるものでした。研修会には山脇市議も参加しました。
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