奈良市の地域でつくる学校予算、守山市の青年団活動を学ぶ - 常任委員会視察(11月4・5日)
蕨市議会の教育まちづくり常任委員会(6人)で、4日と5日、奈良市と滋賀県守山市を視察しました。
奈良市でのテーマは地域で決める学校予算事業。奈良市の人口は約36万人。22の中学校区(47小学校と35幼稚園)ごとに、各150万円から650万円の予算を配分し、地域ごとにその使い道を計画し実施していくもので、地域の人材や環境を生かし、子どもの学習会津堂を充実させることを目標としています。説明した地域教課の高塚主管は、蕨市の事情を事前に調べていて、蕨市の教育水準が高いことを、学力テストの県平均、全国平均との比較を話していました。私から少人数学級のことも話題提供して、蕨の事情を説明。一方奈良市では、1,2年生が30人学級、3,4年生が33人学級、5,6年生が35人学級とのことでした。
事業の効果としては、子どもの体験する場が増えたこと、生きる力を育むことができているというが上げられました。逆に問題点・課題としては、事業開始から5年ほどが経ち、マンネリ化していることで、その対策として、先進地視察をしていることがあります。また、教員の負担が強いことがあり、私が事前質問を送っていたものに対し回答がありました。地域支援課(教育委員会事務局)としては今後、その事業が教員を含めて学校の理解が得られるか、地域にとって本当にニーズがあるのか、この2点を、各中学校区の実施団体に呼びかけているとしています。
同様な事業は蕨市でも特色ある学校づくりとして、おこなわれていますが、蕨市との違いは、地域が広いことや世界遺産の施設が多数存在するなどの地域の特長を生かしていることだとの認識しました。
奈良市役所での説明を辞して、視察団一行は、市役所にほど近い平城宮跡資料館(入場無料)をボランティアさんの解説を聞きながら見学しました。
2日目は滋賀県守山市です。人口は8万人ほどで蕨とほぼ同じ、面積は琵琶湖部分を除いて40平方キロ。テーマは青少年育成事業。生涯学習課の高橋課長と佐々木指導主事から説明を受けました。佐々木さんは中学校の教師でもあります。これは、従来の青年団が消滅状態になったもと、若者の活躍できる場をつくれないか、地域を若い力でなんとか活性化できないかとの問題意識のもと、2004年頃から準備を進め、2006年に田んぼでバレーボールをする「どろんこバレー」を実施。2012年には青年活動に補助金を交付する要綱を策定、全国地域青年「実践大賞」を受賞、2014年度には劇作家の大峰順二氏を招いて「研究会」を開催して、青年活動への助言をいただいるとのことでした。研究会の中心メンバー(若者)が「もりやま青年団」を結成し、社会教育団体になる方向での検討も進んでいるようです。青年団は15人程度と少ないですが、昨年は19歳の人が4人加わったということで、人数を増やしていくことが課題です。県外に通学する大学生が、学内のサークルでなく、自宅のある地域で活動したくて青年団に加入する例もあるとのことで、活動の魅力を高めることも日頃から研究しているようです。団員のなかには、学校の教師になる人、守山市や隣の野洲市の職員になる人も多く、地域活動に参加することで、公務員に関心を寄せることにもつながるようです。
守山市は蕨と比べると、田園地帯が広がり、一次産業に千人以上が従事していること、京都まで25分、大阪まで1時間ですが、蕨ほどのベッドタウンではないようです。そういう点で蕨では青年団活動は難しい状況ですが、蕨では、成年式実行委員会や青年会議所の活動、各町会での若い世代の役員、公民館活動などが、もりやま青年団のめざす方向と共通しているのではないかとの印象を受けました。若者の活躍できる場をつくるという視点においては、なによりも、若者が生き甲斐を持って働くことができる社会づくりが求められるのは言うまでもありません。
奈良市も守山市も、地域活動、青年活動のコーディネーター役としての公務員の存在が大きいことも、両市の説明を聞いていて実感しました。両市とも、教育委員会事務局職員が、時には、夜遅くまで地域の人々と議論をする(守山市では月1回の青年団役員会が夜8時から11時まであり、ここには職員も参加)、住民だけではことの進め方がわからなくなり行き詰ったときに助言をする、そういう役割が公務員に期待されえいることも改めて実感できました。公務員バッシングをはねかえす大事な視点です。
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