梶原秀明前市議の過去ページ
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【9月市議会】2015年度一般会計決算審議

7日の本会議質疑のうち、私が行った標題の審議の結果をまとめました。
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9月市議会は7日に議案質疑をおこない、日本共産党は4件に質疑しました。私は、2015年度一般会計決算認定に質疑しました。以下、概要を報告します。

【各種事業】
15年度の特徴的な事業、市民のくらしを支える事業についての主な答弁は次のとおりです。

【介護保険料軽減】国の制度を活用し保険料第1段階3323人に、一人3131円、総額約1040万円軽減した。

【生活保護】(1)年度末の保護受給世帯は1234世帯(前年比35増)。うち高齢者世帯が12年度453、13年度504、14年度528、15年度581、と増えています。これは全国的傾向と同じで、暮らしに困ってる高齢者が増えていることを示しています。(2)生活保護費に市は8億円を持ち出しているとの、誤った議論が一部議員から先日あっためこの点を質疑。部長が、「地方交付税の基準財政需要額における生活保護費の算定額は約7・69百万円」と答えました。15年度決算で、生活保護扶助費28億18百万円から、国負担金20億54百万円を差し引いた約7・64百万円は、ほぼ全額が地方交付税措置されていることが分かります。

【生活困窮者支援事業】(1)法律にもとづき15年度から始まったものです。相談者数140人(うち匿名10人)。住宅確保給付が2人。家計相談7人、学習支援(中学生)10人。相談者は匿名をのぞく130人のうち、年齢別で、40代・50代の働き盛りが45%、若い世代(20代・30代)でも19%あるなど、全世代から相談があることが特徴。暮らしや雇用の厳しさを反映しています。(2)特に困窮している10人に支援プランをつくり支援を継続している。主な訴えは、失業、高齢での生活苦、子どもが多く生活費が足りない、高齢の親を介護していて仕事をやめている、精神的な病気、などです。

【子育て支援】(1)地方創生交付金を活用し、第3子の保育料を無料とした。29人が該当。うち新たに無料となったのは11人(従来の蕨の制度での無料は18人)。交付金が打ち切りとなった16年度もこれは継続している。(2)保育園の待機児童は4月時点で3人ですが、隠れ待機は41人です。年度で最も待機児が多くなる12月時点で比較したのが表1です。来年4月の新たな認可保育園の確実な開園が待たれます。(表1)

【ウォーキングと筋力アップ】県から健康長寿プロジェクトとして優良賞を受けた。参加者を分析して、身体活動レベルが「上位に移行」31%、「下位に移行」10%で効果が見られた。医療費抑制では、一人年間約2万円の効果が検証できた。

【コミュニティバス利用者増える】総利用者数は20万817人(うち無料利用は8万8751人)。有料利用者は前年より1408人増えた結果、総収入も増えている。

【DV相談が大きく増える】15年度に正式にDV相談支援センターが発足した結果、相談件数は13年度132件、14年度118件、から15年度231件と大きく増えた。専門家を配置し権限も高まり、より迅速な相談が可能となっている。

【家具転倒防止機器具補助金】要介護者・障がい者等に対象を限定した15年度は15件の申請にとどまったが、28年度は8月末までに42件の申請がありました。今後周知に工夫が必要と部長が答えました。

【住宅リフォーム制度】国の交付金を活用し、補助額を2倍に引き上げたことで、72件、約831万円を市民に補助しました。市内事業者への発注総額は約1億402万円でした。工事箇所は、浴室・台所・トイレが多いとのことです。

【災害対策備蓄品】主食や飲料水、衛生用品、避難所で使う機材などを計画的に整備しています。うちトイレ処理セットについては、避難者、帰宅困難者、下水道機能支障世帯の3日分を目標に増やしていく。災害時には、居宅へも配布する計画です。

【3世代ふれあい家族住宅取得補助制度】同居10件、近居10件で、計520万円を市民に補助した。うち9世帯が転入、残りが引き続き市内居住で、定住促進で子育て世帯70人の定住促進が図れたと部長が答えました。

【音楽によるまちづくり事業】15年度からの新規事業。15年3月市民懇談会の提言「賑わい創出、子どもなどが身近に音楽に触れること、多くの市民に音楽情報を知ってもらう」をもとに、実施した。「蕨市民音楽祭」「子ども音楽大学わらび」などを実施しました。部長は、これら事業は、市民の芸術文化の振興に着実に寄与している、と答えました。

【市政全般について】
 市民の所得状況や市財政について質疑しました。主な答弁は次のとおりです。

【借入金】市全体の借金は頼高市長就任前の約363億円から15年度末は311・7億円で、約51億円圧縮しました。

【市財政について】土地開発公社の健全化(土地の買い戻し)と基金増で、「将来負担比率」が改善している。今後は、公共施設の耐震化等多額の財政需要を見込み、交差費は16年度から増に転じるなど、財政は厳しくなると考えている、と部長が答えました。

【職員の増減】第3次蕨市定員適正化計画にもとづき定員管理をしている。この3年間で正規職員は12人減り623人。内訳は生活保護部門5人増、保育部門2人増。市立病院9人減、小中学校(業務員)5人減など。

【市民の所得状況】給与所得者の所得別人数割合は表2のとおりです。私は所得300万円以下の市民の割合が増え、700万円超の割合が減り、格差が広がっている実態を示し、総務部長に見解を聞きました。部長は、2008年秋の「リーマンショック以降厳しい状況が続いている。経済状況の改善が不可欠」と認識を示しました。

【市長に、(1)市民の所得状況(2)低所得者対策(3)財政状況と今後の施設整備、を質問】
【市長】(1)アンケートでも景気回復の実感はないという声が多数だ。市民・国民の所得が増えることが大事であり、機会をとらえてそうした経済政策を(国に)求めていきたい。(2)学習支援、就学援助拡大など、特に貧困の連鎖を断ち切ることに力を入れ取り組んでいる。(3)大きな施設の耐震化などに対処する体力がついてきていると考えている。
(エクセルデータ:保育園の入園希望・待機児童数推移と、給与所得者の所得状況推移)