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地域人権問題研究集会に出席しました(10月29日)

地域人権問題研究集会(人権連と実行委員会の主催)が10月29日と30日にさいたま市内で開かれ、29日の全体会に参加しました。国会で自民党などの議員提案で、「部落差別固定化法案」(人権連)と呼ぶべき法案が、11月にも採決が狙われるなかで開かれ、基調報告に立った人権連の新井直樹事務局長は、人権尊重の社会(まち)をめざす意義などを持つ集会だと報告しました。

主催者あいさつに立った人権連の丹波正史議長は、法案の問題点を厳しく指摘。「差別糾弾」などの無法な私的制裁を合法化させかねないこと、部落差別は基本的に解消され立法事実がないこと、法案3条で「地域の実情に応じ…教育・啓発を行う」としていることが同和事業の復活につながりかねないこと、「差別の実態調査」を自治体に要請し旧身分洗いという人権侵害に通じること、を法案の問題点としてあげました。そして丹波議長は、子どもや高齢者の貧困という新たな人権課題を考えなければならないときに、時代錯誤な法案など、絶対に廃案にしようと訴えました。この問題で日本共産党の藤野保史衆院議員は、10月28日の法務委員会で質疑し、衆院通過阻止へ奮闘しています。

私は、同和行政の終結は自民党自身も進めてきたのに、それに逆行する法案をなぜ議員提出したのか疑問だったのですが、「差別禁止など法の名で、言論規制・利権維持をはかろうとする部落解放同盟などの動きを、自民党が取り込み、自らの国民管理に利用しようとしている」との新井氏の報告で腑に落ちた次第です。

全体集会では、「貧困・不平等と社会福祉」と題し立命館大学教授の唐鎌直義(からかまなおよし)氏が、「『9条』俳句問題と公民館 表現の自由と行政」と題して東京大学名誉教授の佐藤一子氏が講演しました。唐鎌氏はこの15年間で年金生活の夫婦世帯の収入が月額4万8千円減り20万7千円になり、一方支出は減らず26万9千円とデータを提示。その差額は預貯金で補うため、急速に預貯金が減っていることと、消費税の逆進性を具体的に数字で厳しく告発。年金を減らさないこと、消費税を上げないことを呼びかけました。

佐藤氏は、さいたま市三橋公民館で起きた、俳句「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」が「公民館だより」14年6月号で掲載拒否された問題の、経緯と裁判の現状を報告(裁判は15年6月から)。公民館側(裁判ではさいたま市)が、世論が二分している問題は刊行物に掲載できないと主張しているのが争点の一つと述べ、意見が分かれる問題こそ『反対』『賛成』と自由に表明・議論することこそ、国民の「学習権」を保障することだ、学習の中身にまで立ち入って、その可否を公民館が判断するのは公民館の中立性を侵していると、裁判で立論していると説明。文化を創造する場としての社会教育施設(公民館・図書館・博物館など)の発展と、まもなく証人訊問を行う裁判への支援を呼びかけました。