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外国人児童生徒の日本語教育と秋田市の学力向上の取り組みを学ぶ(11月10日・11日)

9月市議会で議決した教育まちづくり委員会の視察を、10日は宇都宮市、11日は秋田市で行いました。

宇都宮市では、外国人児童生徒への教育について。宇都宮市は人口約52万人、外国人は約8千4百人で比率は約1・6%です(蕨市は6・3%)。小中学生約4万1千人のうち日本語指導が必要な児童生徒数は27年度148人(28年度は11月1日現在138人)とのことです。

来日したばかりの児童生徒に、まず40日間(1日3時間)の初期日本語教室を教育センター内で実施し小・中学校への円滑な編入学を図ります(事情により就学前から通級可)。その後は各学校において、初期段階、中期段階・後期段階と、全部で最大315時間の日本語教育をおこないます。

学校教育課で日本語指導を担当している方(専門は音楽)から話を聞きました。平成4年頃は市内の工業団地で働く南米系家族の子が多かったが、最近は中国などのアジア系が増えている、中国人は進学熱が高く、フリピン人、タイ人などは、困難を抱えている家庭がある、など国別の状況も参考になりました。

蕨市の3月議会で宮下議員が「外国人への日本語指導」を一般質問しましたが、その際の答弁で日本語が話せない児童生徒は94人でした。外国人の比率が宇都宮市よりはるかに高い蕨市での今後の対応について、大変参考になる視察内容であり、今後の一般質問にいかしていこうと考えます。

2日目の秋田市では、学力向上の取り組みを視察しました。秋田市(または秋田県)は全国で最も学力が高い地域とされています。学校教育課の2人の職員から話を聞きましたが、他市他県と学力テスト等の比較はしていない(少なくとも市民への情報提供はしていない)とのことです。

市の教育方針では5つの重点項目を立てています。そのうちの一つ「豊かな心と確かな学力、健やかな体をはぐくむ教育の充実」で、「生徒指導の3機能を生かした授業」として、自己決定の場の設定、自己存在感を持たせる、共感的な人間関係の育成を強調していました。

市教委の基本方針はどの自治体も大差はないと思うのですが、学力向上の秘密としては、県の教師加配によって、中学3年生まで、クラスの人数は平均30人と少人数であることは間違いないでしょう。私の質問に対し、少人数学級・少人数指導は、一人の学習を詳細にみることができる、意欲の向上や学習内容の定着につながっているとの見解でした。また、教職員研修の取り組みも強調され、今年度は全71講座あること、専門科別研修では小中合同で行うこと(それぞれ半日)、全市いっせいの授業研究会(小中各1日)があり、これらの研修で、社会が求める多様な教育課題に対応できるようにすることと、授業力を高める努力を続けている、との紹介もありました。

人口減少で悩む秋田市と、人口微増で都会的な蕨市と、簡単に比較はできませんが、教師の目が子どもに行き渡ること、安定した家庭環境、子供同士の教え合いなど、両市に共通することも分かり、学校教育について学ぶよい機会となりました。

教師の多忙化、広告会社電通の過労死裁判、学校でのICTの活用、市の予算に占める教育費の割合、街の活性化など、視察では、議員間の自由討議もおこないました。11日の視察終了後、新幹線の出発までの間、駅近くにある秋田県立美術館を見てきました。