議会報告
香川県三豊市・坂出市の市立病院の経営再生を視察〜環境福祉経済常任委員会視察報告(市議会議員 やまわき紀子)
11月4日に香川県三豊市の「市民病院建替えまでの経緯と経営再生に向けた取り組み等について」、5日には香川県坂出市で「坂出市立病院の再建と経営等について」視察を行いました。
香川県三豊市は、人口約5万7千人。みとよ市民病院は移転建替えで令和4年5月に入院診療、外来診療を開始しました。旧病院は平成19年度の耐震診断において、緊急に改修等が必要との結果がだされ、平成30年に城西大学の伊関教授を総合政策アドバイザーに迎え、現在地への移転建替え案が承認。新病院はRC造6階建、基礎免震構造、延床面積9千㎡、122床で、事業費を40億円以内(税別)に収めるという制約の中で、コンパクトかつ高品質な建物を実現。設計・建設には建設段階から施行者が参画する手法・ECI方式を採用し、技術提案を早期に反映することで、工期短縮とコストを削減。医師数や病床利用率、医療需要、経営効率等を総合的に分析し、157床から122床へとダウンサイジングを実施。病室を個室化し、差額ベッド料を徴収しない運用で患者・家族の満足度が高まりました。地域包括ケア病棟では、急性期治療後の患者や在宅・施設療養中の急変患者を受け入れ、急性期病院や介護施設、かかりつけ医との連携を強化。退院支援においても在宅復帰率72・5%を達成し、地域完結型医療の実践モデルとなっています。地域医療連携室は、各自治体が進める在宅医療・介護連携事業に積極的に参加し、顔の見える関係づくりに努めているとのことで、地域全体で支える医療体制が整えられていました。
翌日訪れた坂出市は人口約4万7千人。視察した坂出市立病院は、かつて累積欠損金が25億円を超え、廃院勧告を受けた時期もありましたが、院長の強いリーダーシップと市長の断固たる決意のもと、全職員の意識改革を進め、「市民が安心して暮らせ、心の支えとなる病院に」という基本理念を掲げ、病院再建を果たしました。経営強化プランにおいて、①役割・機能に即した体制整備、②マネジメント体制の強化、③外部アドバイザーの活用の3本柱で進められ、さらに診療情報管理士の増員など、データに基づく経営管理を進めました。病院内では、多職種によるチーム医療と部会活動を推進し、職員間の風通しを良くすることで、医療の質と職場の活力を高め、さまざまな取組の積み重ねにより、経常収支比率・病床利用率などが改善し、黒字経営を維持。医師・看護師の確保は、院長自らが大学の医学部に出向き関係強化を図るほか、臨床研修医や専攻医を積極的に受け入れ、待遇面を整えて定着の促進を図っています。看護師は、地元高校への訪問や随時募集を通じて人材確保を行っており、安定した職員配置ができているとのことでした。坂出市立病院は「経営の安定なくして良質な医療なし」を原則とし、収益性と公共性の両立を掲げ、経営改善を目的ではなく手段として捉え、地域医療を支える救急・感染症医療などの公的機能を維持しながら、医療の質を確保している点、医療技術の進歩にも積極的に対応し、無菌室や手術室の増設するなど多彩な取組も印象的でした。
ふたつの病院を視察し、蕨市立病院の今後の設計・運営においても、経営の安定を考える上でも大変参考になりました。。