12月議会
【12月市議会・一般質問】平和行政の推進、図書館の整備、包括的性教育、子育て支援、地域要望について質問(市議会議員 やまわき紀子)
1 被爆80年・蕨市平和都市宣言40周年にむけて平和行政の推進を
やまわき 来年は戦後80年、被爆80年そして蕨市平和都市宣言40周年にあたるがどのような取り組みをしていく考えか
総務部長 戦後80年、平和都市宣言40周年の取り組みとしましては、公民館等において、来年度実施を予定している平和事業については、冠事業として事業展開をしていくとともに、記念式典のほか、周年事業としてふさわしい催しの開催について現在、検討を進めているところであります。
市長 被団協の被爆の実相や非人性を訴えるこうした活動が大きな力となった。人類と核は決して共存できない。ぜひ来年は節目にふさわしい事業を検討していきたい。
やまわき 本市の平和行政の取り組み状況はどうか
総務部長 これまでの取り組みといたしまして、昭和63年に、市民公園に平和之母子像を建立、平成7年に、春日公園に平和祈念碑を設置し、恒久平和の誓いを新たにいたしました。
さらに、平成22年に、「平和都市宣言塔」を蕨駅西口駅前広場内に設置し、宣言にある核兵器廃絶への願いと市民の平和を願う心を市の内外に向けて発信しているほか、平成27年には、広島市の被爆アオギリ二世の苗木を譲り受け、平和のシンボルとして植樹いたしました。
このほか、例年、「広報蕨」8月号やケーブルテレビ「ハローわらび」での平和特集、8月6日、9日及び15日に防災行政無線による黙祷の呼びかけ、市庁舎、各公民館及び蕨駅への懸垂幕等の掲出、各公共施設での平和都市宣言パネルの掲示などの取り組みを行っているところであります。
また、「平和で豊かな社会を次の世代に引き継ぐ」ことを目的として、平和都市宣言を紹介するクリアファイルを中学生に配布する事業を行っております。
引き続き、様々な取り組みを通じて、より一層の平和意識の醸成を図ってまいりたいと考えております。
やまわき 「原子爆弾被爆者見舞金」の受給者数はどうか。増額を検討してほしいと思うがどうか
福祉部長 原子爆弾被爆者見舞金は、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者に対し、平和宣言の都市として年額2万5千円の見舞金を支給する事業であり、令和6年度の受給者数は9人となっております。
見舞金の増額につきましては、限られた財源の中で、他の施策との兼ね合いも考慮する必要がありますことから、市政全体の予算配分を踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。
やまわき 平和行政の一環として小・中学校や福祉・児童センターをはじめ、その他の公共施設等で、被爆者の生の声(語り部)を聞く機会を設けてほしいと思うがどうか
教育部長 学校においては、国語科や社会科、特別の教科道徳を中心に、平和に関する学習を行っております。その中で今年度は、西小学校において、12月に戦争体験をされた方をゲストティーチャーとして招き、当時の生活状況について貴重なお話を直接伺いました。また、中央東小学校では、1月に東京都千代田区にある語り部の派遣を行っている昭和館から講師を招き、お話を伺う学習を予定しております。
また、公民館等社会教育施設においても、毎年夏季を中心に平和事業を実施しており、その中で戦争を体験された方や被爆された方から直接、戦争や核兵器の恐ろしさ、悲惨さ、戦中・戦後の苦しい生活などをお話しいただき、平和の大切さを認識する機会を設けてまいりました。
教育委員会といたしましても、被爆体験や戦争体験を直接聞く機会は大変有意義なものと考えておりますが、近年戦争体験者がご高齢となり、学校等にお越しいただくことが難しくなっていることもあるため、映像資料の活用など、様々な方法で戦争体験等を後世に伝えていければと考えております。
やまわき 来年は被爆80年の節目にあたる。広島市、長崎市主催の平和記念式典へ子どもたちを代表派遣してほしいと思うがどうか
教育部長 こうした機会は、大変貴重な経験であると思います。しかしながら、夏季休業中の派遣となり、各家庭の都合や、習い事・部活動など予定の多い児童生徒への負担を考慮しなければならないため、式典への参加ではなく、先ほども申し上げました取り組みを進める中で、被爆体験者による証言の映像資料等も活用しながら、平和に関する教育を推進してまいりたいと考えております。
やまわき 自衛官募集業務について、名簿の閲覧や自衛官募集の配布物作成の実施状況はどうか。総合防災演習における自衛隊車両の展示と自衛官募集のチラシ配布についての経緯はどうか。違和感を覚える市民もいるが本市の見解はどうか
市民生活部長 住民基本台帳法に基づく市民課窓口における名簿の閲覧につきましては、平成28年度から申請はございませんが、配布物の作成は法定受託事務として実施しており、今年度も国からの委託金を受けて募集啓発用ポケットティッシュ 2,500個を作成し、市民課窓口等に設置しております。
また、「総合防災演習における自衛隊車両の展示と自衛官募集のチラシ配布の経緯と本市の見解」につきましては、自衛隊は、災害時の応急・復旧活動において重要な役割を担うことから、本市の総合防災演習の実施にあたっては、例年、陸上自衛隊に協力・関係団体として参加いただくとともに、土のう構築訓練の指導や資機材等の展示をお願いしており、平成28年度に災害時に装備する各種救助用具を、30年度以降は災害派遣に活用される高機動車(こうきどうしゃ)等の車両を展示いただいているところであります。
なお、自衛官の募集につきましては、過去に、展示・体験コーナーにおいて、演習に参加いただいた隊員がチラシを設置しておりましたが、近年は、そうした募集活動は行っていないものと認識しております。
市といたしましては、自衛隊に参加いただくことは、本市との協力体制の確認だけでなく、災害時における自衛隊の活動内容の周知、市民の防災意識の高揚などの観点からも、意義のあるものと考えております。
2 市立図書館の整備にあたって
(1)新図書館の整備に際し、市立図書館にかかわる総合的な方針や計画についても検討していく考えはないか。その中で市民や利用者の要望・意見、他自治体などでの先進事例などはどのように生かされていくか
教育部長 令和2年2月に決定した「蕨駅西口地区市街地再開発事業の公共公益施設の設計について」の中で、新図書館のコンセプトとして「多様化する学習ニーズ・利用者特性に配慮した機能整備」、「駅近を活かした導入機能と運営の連携」、「安心・快適な利用環境の整備」の3つの柱を掲げ、整備を進めております。また、「コンパクトシティ蕨」将来ビジョンⅡにおいても、多様化する学習ニーズや利用者特性に配慮し、良好な立地を生かした安心・快適な利用環境を提供できるよう施設の整備を進めていくという方針・計画としているところです。
また、市民や利用者の要望・意見につきましては、平成31年4月に「蕨駅西口再開発における図書館整備に関するアンケート」を実施するとともに、令和元年6月と7月の2回に渡り、ワークショップを開催し、他自治体の先進事例等も説明しながら、希望する機能やゾーニング案を検討していただきました。その後も、職員による他市の話題となっている図書館の視察を通じて、他自治体の先進事例の情報を収集しております。
これまでも、広報蕨やホームページを通じて、新図書館の状況について周知を図っているところでありますが、今後も適宜、情報の発信に努めてまいります。
(2)新たに整備する市立図書館についての方向性や具体的な内容などはどのようか。また、運営形態・体制・特色・理念・構想をどのように考えているか
教育部長 新図書館の方向性につきましては、公共公益施設の基本コンセプト「豊かなときを創るほっとプレイス」に基づき、家でも、学校や職場でもないサードプレイスとして、滞在型の図書館を目指していくこととなります。
また、運営形態と体制につきましては、直営・指定管理・一部委託など、現在、他市事例等を調査し、検討しているところであり、特色・理念・構想につきましては、蕨駅直結という利便性の高さを生かし、多くの人に利用してもらえるよう、充実した閲覧・学習ゾーンや子どもエリア、カフェを備えるといった様々な利用ニーズに応える、魅力あふれる施設を検討しております。
(3)新たな図書館において子どもを含む利用者の増加などを考慮し、再開発区域内の駐輪場や道路環境の整備などが必要と考えるが、見解はどうか
都市整備部長 蕨駅西口地区市街地再開発事業では、令和6年1月に着工した施設建築物の建設に合わせて、駐輪場の整備やプロムナードの整備のほか、区域の外周部分において、歩道を含む道路の拡幅整備が計画されております。
駐輪場につきましては、図書館などの公共公益施設や商業施設などを利用される方のために、主に公共公益施設が入るB棟の南側と西側の歩道に面して約360台の整備が予定されており、また、道路環境の整備につきましては、現況の幅員6メートルと8メートルの道路が、歩道を有する12メートルの道路として整備されるとともに、蕨駅西口広場から7番街区に続くプロムナードが整備されるなど、安全な歩行空間の確保に加えて、利用者の安全性や利便性にも配慮した計画となっております。
(4)電子図書の整備や利用状況はどうか。また、マンガ本の蔵書についてはぜひ検討してほしいと思うがどうか
教育部長 令和5年度末時点での電子書籍の整備状況は、一般書が606冊、児童書が181冊、児童読み放題パックが346冊、青空文庫が500冊、DL-マガジンが202誌、3,846冊であり、合計5,479冊となっており、5年度の利用状況は、のべ利用者数が22,579人、のべ閲覧冊数が38,889冊となっております。また、マンガ本の蔵書の検討につきましては、市立図書館では歴史や偉人の学習マンガ、及び一部例外として「さよなら私のクラマ―」等を所蔵しておりますが、それ以外の一般的なマンガにつきましては、1つの作品が複数の巻に渡るケースが多く、書棚の確保が難しいことや、公立図書館として所蔵すべき作品かどうかの判断基準が難しいといった課題があり、現在、マンガ作品を積極的に収集する方針ではございませんが、今後とも利用者からのニーズを把握する等、調査・研究してまいります。
(5)市長に聞く。図書館の跡地利用として南町分館として残せる可能性と、新しい図書館の運営形態について市長の見解はどうか
市長 時間延長やレファレンスサービスをやっていくために運営形態についてはよりよい図書館にするために検討していきたい。跡地利用についてはこれから庁内検討委員会を立ち上げ、検討していく。文化芸術のまちにふさわしい整備をしていきたい。
3 包括的性教育とユースクリニックの設置について
(1)従来の性や生殖などにとどまらず、ジェンダー平等や性の多様性、自己決定権などを含む人権尊重を基本とした包括的性教育を本市でも進めてほしいが、現在の取り組み状況と本市の考えはどうか
市民生活部長 包括的性教育は、身体や生殖のしくみだけではなく、人間関係や性の多様性、ジェンダー平等、幸福など幅広いテーマを含む教育であるものと認識しており、本市では、本年3月に 策定いたしました『第3次男女共同参画パートナーシッププラン』において、基本方針7「生涯を通じた心と身体の健康支援」を掲げ、「性と生殖に関する健康と権利の尊重」、「生涯を通じた健康づくりの支援」、「心と身体に関わる相談支援の充実」の3つの施策を柱とし、性差の理解、人権を尊重した身体的・精神的健康の維持、個人の個性と能力の発揮など、包括的性教育の理念に準じた10項目の事業を掲げ、すべての人が身体的な性に関する特徴を十分に理解し合い、互いの人権を尊重しつつ、相手に対する思いやりを持つ地域社会づくりに取り組んでいるところであります
(2)SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)「性と生殖に関する健康と権利」について、本市の子どもたちに伝える取り組みが必要と考えるがどうか
教育部長 学校教育においては、性に関する指導や人権教育について、学習指導要領及び国や県の通知等に基づいて指導しております。
SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)で示されている考えに関連する内容として、例えば、保健体育科では「生殖に関わる機能の成熟」や「エイズ及び性感染症の予防」を、総合的な学習の時間や学校行事に係る指導において「性の多様性」等を指導しております。
また、国の第4期教育振興基本計画では、「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」をコンセプトの一つとして掲げており、「多様な個人それぞれが幸せや生きがいを感じるとともに、地域や社会が幸せや豊かさを感じられるものとなる」ための教育の在り方について示されております。
SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)については大切な考え方であると認識しておりますが、学校においては学習指導要領等で示されている指導内容に則り、適切に指導してまいります。
(3)「生命(いのち)の安全教育」として思春期の若者が気軽に訪れて、性に関する相談や性の正しい情報を得たり、メンタルサポートなどが受けられる「ユースクリニック」の設置が必要と考えるがどうか
市民生活部長 ユースクリニックは、主に10代から20歳代前半の若者の体や、性の悩み相談に応じる若者のためのクリニックで、助産師、看護師、公認心理士、産婦人科医などが待機し、様々な相談に応じる場所と認識しておりますが、設置に当たりましては、設置スペースや専門家の確保などにおいて課題があることから、今後、先進自治体等を注視するとともに、市民団体の男女平等推進市民会議や、SDGs提案制度を活用し、現在、各公民館を会場に『暮らしの保健室』を運営する団体、「あひるの家」などと連携を図り、調査研究してまいりたいと考えております。
4 「子育てするならわらび」子育て支援策の充実につて
(1)2025年度にむけた保育園および留守家庭児童指導室の申込受付状況はどうか。また、3年間の推移についてはどうか
健康福祉部長 10月1日から11月29日まで、子ども未来課窓口において保育園入園の一次受付を行ったところ、307名の新規入園の申込みがありました。3年間の推移につきましては、各年度の一次受付時点の申込者数で申し上げますと、2024年度は
319名、2023年度は320名となっております。
また、留守家庭児童指導室は10月15日から12月13日までの期間で子ども未来課窓口において公設の留守家庭児童指導室の入室受付を行っているところであります。新規入室希望者の推移につきましては、2024年度は230名、2023年度は219名となっております。
(2)産後ケア事業の利用状況はどうか
健康福祉部長 令和6年4月から10月までの利用分で、居宅訪問型が32日、通所型が62日、短期入所型が63日で利用者数は52人となっております。
(3)留守家庭児童指導室の長期休業期間における外部からの弁当配達の実施状況はどうか。民間留守家庭児童指導室における弁当配達の注文を受けている施設はどのくらいあるか。また利用割合はどのくらいか
部長 現在、公設民設合わせて21室中、11室で外部からの弁当配達を行っております。民間留守家庭児童指導室では5室すべてにおいて、指導員による弁当配達の注文を受けております。
また、公設民営1室でも指導員による注文を受けているほか、公設公営1室、公設民営4室の計5室については保護者の有志グループが弁当配達の注文を受けているところです。利用者割合ついては、おおむね2割となっております。
5 市民要望について
(1)ファミリー菜園の外回りや通路の清掃についてはどのように行われているか。年に一回定期的な清掃が必要と思うがどうか。特に、南町第4ファミリー菜園については早急な清掃が必要であるがどうか
市民生活部長 ファミリー菜園は、都市化された本市において、多くの市民の皆様に気軽に土に親しんでもらうことを目的とし、現在市内6か所に設置しております。
菜園の外回りや通路の清掃につきましては、年1、2回程度事業者に委託して行っているほか、菜園の利用者に清掃活動を主体的に取り組んでいただいているほか、蕨市園芸緑化研究会の会員で構成されている、ファミリー菜園指導員や利用者の方から除草依頼などのご連絡をいただいた際には市職員が現場へ急行し、個別に対応するなどしております。
南町第4ファミリー菜園につきましても同様に、夏には事業者に依頼し、菜園内の草やゴミ等を処理いたしましたが、ここ最近では外回りの雑草が伸びていることから、事業者と清掃日時等について現在調整しているところであります。(12月12日実施済み)
今後につきましても、菜園利用者やファミリー菜園指導員にご協力いただきながら、ファミリー菜園の適切な管理に努めてまいります。
(2)緑川の県道からJR線路の間(第一中学校裏)の柵の老朽化が激しくなっている。危険な箇所も見受けられるため早急な整備を県に要望してほしいと思うがどうか
都市整備部長 現地の状況を確認した上で、すでに緑川の管理者である、さいたま県土整備事務所に危険性のある箇所などの状況の報告と改修の要望を行っており、さいたま県土整備事務所からは、県道川口蕨線からJR線路までの老朽化した柵については、今年度中の改修を予定していると伺っております。
(3)空き家や空き地の雑草問題が近隣住民の悩みの種となっており、近年は特に増えてきていると思う。市への相談件数はどうか(空き地空き家条例やさわやか環境条例など担当別に昨年度と今年度)。どのような対応が行われているか
市民生活部長 本市では、蕨市さわやか環境条例において、空き地及び空き家の適正な管理等について定めており、空き地、空き家に係る雑草、不法投棄等についての苦情やトラブル等の相談件数につきましては、昨年度は12件、今年度は11月末現在で12件となっております。
雑草や樹木の繁茂に関する相談が寄せられた場合には、担当が現地の状況を確認するとともに、所有者の調査を行い、所有者が判明した場合には、不良状態を改善するよう指導する旨の文書を発送しており、また、所有者が亡くなっている場合については、相続人に対して、同様に適正な管理を依頼しております。
状況によっては、所有者等に迅速に対応していただけないケースもございますが、そのような状況であっても担当者が粘り強く、繰り返し要請を行い、適切な状態に改善するまで取り組みを継続しております。
引き続き、関係部局と連携を図りながら、市内の快適な生活環境の確保につながるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。