平和
歴史民俗資料館の平和記念展
市立歴史民俗資料館第35回平和記念展のテーマは「青春の欠片 シネマと音楽とダンスホールと」。展示されているのは、蕨劇場(現在の中央4丁目)の映画や漫才など催しのチラシ、人気俳優のブロマイド、流行したレコードと蓄音機、蕨駅前に2年10か月だけ存在したダンスホール「シャンクレール」の賑わいなど…、戦時下で人々が親しみ憧れた、まさに「青春の欠片」です。
同時にそれらには、国家が国民を戦争に動員するプロパガンダの役割や、戦争に向かう当時の社会状況も色濃く表れています。一例をあげれば、映画では流行りの作品とともに戦争遂行の国策映画や戦況を伝えるニュース映画が、爆笑漫才大会のチラシの上には大きく「皇軍戦勝請願」の文字が、美しい女優の写真は戦場の兵士への慰問品に、音楽は戦意発揚が前面にでて海外の音楽は敵性音楽として取り締まり対象に、子ども向けレコードには戦争を賛美する童謡や物語が、そして「シャンクレール」は日中戦争下の取り締まり強化などのために閉鎖へ…。
見学した市民は、「写真などの展示資料からは、その時代の息吹が伝わるようだった。また、当時の暮らしの中の文化や娯楽を今日の観点から検証することは、インターネットの普及などにより音楽や映像などの文化が多様化した現代でも、同じ過ちを繰り返さないために大切なことだと感じた。一味違った切り口から平和について考える機会になった」と感想を語っていました。
蕨市立歴史民俗資料館の第35回平和記念展は9月16日(祝日)まで開催されています。