社会保障
介護保険制度の危機・ 安心して介護が受けられる社会を!~社会保障をよくする蕨の会が学習会
10月26日、社会保障をよくする蕨の会の学習会「介護保険の危機―制度の立て直しに向け求められていること」が開催されました。 冒頭、同会の佐藤一彦会長があいさつに立ち、会の活動や介護事業所にも呼びかけながら学習会を準備してきたことを紹介し取り組みを呼びかけました。
講師は新座市で訪問介護やデイサービスなどの事業を行っているNPO法人暮らしネットえんで代表を務める小島美里氏。小島氏は冒頭、介護保険で多くの人に利用される訪問介護の経営が次々に悪化している現状について触れ「事業者が増えているといわれるが、多くはサービス付き高齢者住宅といわれる施設」「制度が悪いために介護の足元が危うくなっている」と指摘しました。
さらに、介護保険制度が始まってからの四半世紀の間の変化について紹介。平均寿命の延伸、認知症の増加、独居や老々介護の激増・一般化などに介護制度が対応できていないと問題を提起するとともに、労働人口の減少、や日本経済の衰退、非正規労働の拡大などの矛盾が不安を広げていると指摘。健康寿命が延びても平均寿命も延びていることや、高齢化社会=認知症社会となっている現状を紹介し、「安心して認知症になれる社会を作ることが大切」と強調しました。
その一方で過酷な労働環境や厳しい経営環境である介護事業の現状を生々しく紹介し「介護の現場に誰もいなくなる」と指摘。「80歳代のホームヘルパーがおむつをつけて訪問介護」などの深刻な現状、2024年の介護報酬改定の問題点、全国的に訪問介護事業所が減少し続ける現状などが次々と語られました。
最後に「訪問の介護報酬削減の撤回」「基本報酬の増額」などの必要性について述べたうえで、「介護保険を悪くしないこと」で共同を広げることが重要であると述べ、世代を超えた取り組みを呼びかけました。