蕨市の合併誘導パンフの 「ごまかし」を斬る

 
市が発行した三市合併問題を考えるパンフは、事実を歪めた説明が多く、市民に「合併は仕方がない」と思わせる内容になっています。問題ある説明のうち、いくつかを指摘しておきます。

市税と地方交付税について

 地方交付税は、国が集めた税金のうちの一定割合(法律で定められている。不足すれば割合を高めることになっている)を地方自治体に配分するもので、自治体間の財源の均衡化をはかるものとなっています。そのため、裕福な自治体(二〇〇〇年度で七四自治体、率で二・三%)には交付せず、税収が少ない自治体にはたくさん配分します。配分額の計算の仕方は、各自治体が標準的な行政を行うのに必要な経費はいくらかを計算し、主に市民税・固定資産税等の普通税収入の四分の三(他に地方譲与税等も収入にいれる)との差額を交付します。
 その制度により、蕨市で市民税・固定資産税の収入が減った分の約四分の三は地方交付税が増額されています。平成十三年度からは地方交付税の一部が臨時財政対策債に替わりましたが、元利償還時に地方交付税で手当てされますので、地方交付税と同じに考えていいものです。
 以上の理由から、市税と地方交付税及び臨時財政対策債の合計は、毎年度ほぼ同じような額になります。

収益事業収入について

 
戸田競艇の利益は戸田市、蕨市、川口市に配分されますが、地方交付税には影響が有りません。収入があるだけ市の財政が楽になります。戸田市には蕨市の二倍の配分金が入り、川口市は蕨市と同額の配分金が入ります。このようなギャンブル収入がない自治体が一般的です。配分金を市民一人当たりで比較すると、蕨市は川口市の約七倍です。合併をするとこの利点が減ります。
 財政が厳しい理由のなかに収益事業収入の減少をあげるのは間違っています。

市の面積が狭いと税収が少ない?

 パンフレットは「単独市政で生き抜いていけるか」として、面積の狭い蕨市は人口増加が期待できず、収入が減少していくと言いますが、法人市民税を含めて市民一人当たりの市民税・固定資産税収入は川口市より蕨市の方が多いです。
 川口市の都市計画税の税率は蕨市の一・五倍で、都市計画税を含めた市民一人当たりの市税収入が蕨市とほぼ同じになっています。広い川口市の方が現実は厳しいと言えます。蕨市は、面積が狭いことで効率良く施設整備ができる利点があります。 不況が続けば大きな市も小さな市も厳しいのは一緒です。そのときに、市民の声を生かした行政が行えるのは、小さなまちの方でしょう。人口が増えれば必要経費も増えますから、人口の増加が単純にまちの発展につながるわけではありません。