市の財政はどうなる?
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 「合併はやむを得ない」と考えている人の多くは、「蕨のままでは、この先、財政的にやっていけない」「合併すれば財政的に豊かになる」と思われているかもしれません。
 合併を推し進める政府も、蕨の市長も、同様な事を言っています。果たして、合併すると、財政的に豊かになるのでしょうか。

◎三市の財政状況は

 合併の相手方である川口市や鳩ヶ谷市が、財政的に豊かで、蕨市を援助してくれるというなら、確かに合併によって、蕨にとっては財政が豊かになるかもしれません。しかし、現状は、表の通り、市民一人当たりの標準的な税収入で比べると、三市の中で一番多いのが蕨市で、逆に、市民一人当たりの借金は、一番少ないのがやはり蕨市です。財政が厳しい市同士が合併しても、財政が豊かにならないことは明らかではないでしょうか。

三市の財政状況の比較(2001年度決算より)
蕨 市
川口市
鳩ヶ谷市
標準税収入額 (市民1人あたり) 157,544円 152,967円 132,023円
借金額(注) (市民1人あたり) 481,731円 489,679円 643,740円
  (注)普通会計及び下水道会計の市債残高、債務負担行為の合計額

◎合併すると、国からお金が来るというが? 〜それは、合併特例債という借金です〜

 「合併すると国からお金がくる」という話を聞いたことはありませんか。それは、「合併した新しい市の10年間の建設計画に対して総事業費の95%の合併特例債という借金が認められ、返済額の70%が地方交付税で措置される」というものです。つまり、実態は市の借金なのです。しかも、その使い道も、新しい市役所をはじめ、概ね、箱物に限定されています。三市の場合566億円の借金が可能となると言われていますが、各市はいまでも多額の借金を抱えており、必要でもない公共事業にこれ以上の税金を投入することは問題ではないでしょうか?しかも、大きな公共施設をつくれば、その維持管理費は全て市民の新たな負担となるのです。

◎川口市には大型開発計画がたくさん  〜地下鉄の莫大な借金も〜

 しかも、その借金を何に使うのかが問題です。川口市には、大きな開発計画がたくさんあります。しかも、昨年開通した地下鉄埼玉高速鉄道(川口市や鳩ヶ谷市などが出資する第三セクター)は初年度88億円の大赤字で、その負担ものしかかって来ます。三市合併は川口のために莫大な借金を背負うということにもなりかねません。
 現に、政府が合併のメリットとして説明している一つが「重点的投資が可能となる」という事です。いま、埼玉県は、川口市のNHK跡地周辺地域を県南地域の重点地域として開発する計画を進めており、蕨市民の税金が、川口中心の大型開発に投入されてしまう恐れは十分あります。

川口市の主な開発計画 ※現時点で想定される総事業費
 川口駅東口再開発 501億円
川口駅周辺リング道路整備計画 922億円
NHK跡地のSKIP計画 170億円

◎市の財政を悪化させるのは二つの大型開発計画

 蕨市の財政は、確かに厳しくなっています。高齢化も進んでいます。でも、それは、川口や鳩ヶ谷も同様であり、5年、10年後に財政が破綻するほどのものではありません。
 今後、蕨の財政を悪化させる恐れが一番大きいのは、蕨駅西口再開発計画と中央第一土地区画整理事業という二つの大型都市計画事業です。どちらも、総事業費は百億円を超え、市の負担も莫大なものになります(この二つの大型開発については、詳しくは別項をご覧下さい)。
 合併すれば、こうした大型開発計画が推進され、市民の暮らし、福祉はますます後退することは目に見えています。今、求められていることは、合併ではなく、蕨市の税金のムダづかいを無くす事ではないでしょうか。
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