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最低保障年金制度実現を求める陳情に志村議員が賛成討論

最低保障年金制度の実現を求める陳情書が不採択
日本共産党は志村茂議員が賛成討論行う

 全日本年金者組合の金子哲人蕨支部長から提出された「最低保障年金制度の実現を求める陳情書」は、@「消えた年金」問題を国の責任で一人残さず早急に解決することA最低保障年金制度を一日も早く実現すること、を政府に求める意見書の提出を求めるものです。
 1点目は正に国民が注目している問題であり、2点目については、無年金者や低年金者のことを考えれば一刻も早く最低保障年金制度をつくることが必要なのは明らかで、政府を動かすうえで意見書の提出が効果あるものです。
 賛成討論した日本共産党の志村茂議員は、「宙に浮いた年金記録」問題が発生した経緯と年金の現状について説明し、本陳情が求めている2項目は大変重要であり、本陳情書を採択すべきだと主張。民主クラブが賛成しましたが、他の会派は討論せずに反対しました。

〈志村議員の討論全文〉
 陳情第8号「最低保障年金制度の実現を求める陳情書」について、日本共産党蕨市議団を代表して、賛成の立場から討論いたします。
基礎年金番号に統合されず、持ち主の分からない5千万件の「宙に浮いた年金記録」の問題は、国民からすれば、年金保険料を納めたのに年金に反映されない「消えた年金」となっています。
 5千万件を越える年金記録が持ち主不明なままなぜ放置されたのか、どこが問題であったのか。それは、1997年に「基礎年金番号」を導入する過程に最大の問題があったといえます。
 それまで、転職や退職、結婚などで一人がいくつもの厚生年金、国民年金の保険料納付記録をもっていて、実際に年金を受けるときにそれらの年金記録を全部そろえることができずに、年金をきちんと受給できないという事態が生まれていました。政府もこの事態を以前から問題視していたのです。「基礎年金番号」の導入は、この問題を解決するために、いくつもある年金記録を「一人一番号」に統合する、いわば「宙に浮いた記録」をなくすために、「基礎年金番号」を導入することがそもそもの目的でした。
 問題なのは、当時の厚労省が、この「基礎年金番号」の導入過程で、年金記録が3億件もあり、人口をはるかにこえていたにもかかわらず、過去の記録をきちんと整理し、統合するための有効な対策をまったくとらなかったことです。
 「基礎年金番号」の導入にあたって、すべての国民に確認をよびかけ、「もし記録が統合できなければ、もらえるはずの年金が受給できなくなります」という宣伝などを行い、国家的大事業として番号の統一作業をやるべきだったにもかかわらず、行わなかったことが今日の事態をもたらした大きな要因になっています。
 さらに重大なのは、政府はその後も事実を国民に知らせることもなく、抜本的な対策もとらず、10年間放置してきたことです。その結果が「消えた年金」問題になってしまいました。
 こうした経過ですから、責任はすべて政府にあります。国の責任で一人残らず、早急に解決すべきであることは明らかです。
 ところで政府は、「宙に浮いた年金記録」5千万件は来年の3月までにすべての名寄せを終わらせる、といってきましたが、社会保険庁が12月11日に発表した内容は、5千万件のうち1975万件の特定が困難だということです。今後の作業として、コンピューター上の記録と紙台帳との照合作業を進めることが必要ですが、そのための予算が十分に計上されないことがわかり、舛添厚労相が約束した「2年で照合」という約束すら困難だと報道されています。
 このような状況をよしとするわけにはいきません。「消えた年金」問題を、国の責任で一人残さず早急に解決することを政府に求めることが益々重要になっています。
 さらに、年金制度そのものの改善が急務になっています。
 現在の年金制度のもとで、若者を中心に、国民年金の保険料が高すぎて払いたくても払えない人が急増しています。日本の年金制度は、保険料を25年以上払い続けなければ年金がまったく支給されないという世界に例をみない異常な条件のため、このままでは将来、無年金や極端な低年金の人が大量に生まれてしまいます。また、40年間、高い保険料を払い続けても、国民年金は月6万6千円しか給付されないという、低水準の年金という問題も深刻です。
 先日、社会保険庁は、公的年金の受給世代にあたる60歳以上のうち、無年金の人が現時点で110万人にのぼるという推計結果をまとめました。60歳未満についても、今後保険料を70歳まで納め続けても無年金者となってしまう人が45万人いることがわかりました。受給資格を得られる「25年加入」に届かないためです。現時点で無年金の110万人のうち、37万人は70歳まで保険料を支払えば、「25年加入」を満たせるそうですが、73万人は現行制度のもとでは救済できず、年金を生涯受け取れないということです。
 社会保険庁は、将来無年金となってしまう人を減らすため、国民年金保険料の納付率を上げる対策を進めてきましたが、2006年度の納付率は66.3%と前年度よりも0.8ポイント低下しています。今年度に入ってからも、年金記録問題などもあり、納付実績は前年度を下回っているということで、このままでは無年金の人が将来さらに増えそうだとの報道がされています。
 こうした状況ですから、社会保障制度としての年金が強く求められており、無年金者や低年金者をなくすために、誰もが一定額の年金を受け取れる最低保障年金制度を1日も早く作ることが必要です。
 以上の理由により、本陳情が求めている、「『消えた年金』問題を、国の責任で一人残さず早急に解決すること」及び、「最低保障年金制度を1日も早く実現すること」を内容とする意見書を、関係方面に提出することを求める本陳情に、日本共産党蕨市議団は賛成いたします。