議会基本条例と公民館での指定管理制度について視察調査 - 市会議員 かじわら秀明
総務常任委員会は9日と10日、岩手県内の2市で行政視察を行ないました。初日に一関市で議会基本条例を、二日目に北上市で交流センター運営事業を調査したものです。
一関市の人口は12万2千人。三重県の議会基本条例を参考に、07年6月に「一関市議会基本条例」を制定しました。きっかけは、05年の周辺自治体との合併の際、旧市町村間で議会運営が大きく異なっていて(一般質問の方法など)、その調整の必要もあり、議会事務局主導で条例を制定したと事務局長の説明です。私たちは、各議員が勉強や議論を深めて条例を定めたのだろうと予想していたので、肩すかしをくらった格好でした。しかしこの条例には、議員は議案審査の他に独自の政策立案を行なうべきこと、議員の議会活動を市民に説明する責務、積極的な議員間討議の必要性、政務調査費の扱い、などを定めており、条例に魂を入れていくことが今後求められるとの説明もされました。
一関市議会では多くの議案が、委員会付託されず本会議のみの審査だそうです。その意味では蕨市議会の方が、本会議も委員会も十分な時間をかけ、議員間討議という点では優れているという印象でした。
二日目に訪れた北上市は人口9万4千人。公民館を公設民営型に移行した「交流センター」について調査しました。従来100億円あった地方交付税が最近は53億円まで減っている中で、公民館の機能をいかに持続させるかを議論した結果、各地域の自治組織を指定管理者と指定し、2006年度から移行したもの。公民館にいた市の正規職員をすべて引き上げ、指定管理者が地域から、センター長や事務長、生涯学習指導員、地域づくり指導員を雇います。人件費では16館で約3800万円の削減効果とのこと。ただし、各センターの地域とのつながりが深まり、利用者は1万5千人増えたとの説明でした。
交流センター1館平均の地域人口は約6千人、指定管理料の市からの支出は千3百万円(うち人件費9百万、維持管理費3百万、生涯学習事業費百万円)、交付金2百万円です。
一関市も北上市も、合併によって住民の声が市政に届きにくくなっているという印象を強く受けました。それを補うにも三位一体改革で国からの予算を減らされているため、正規職員を非正規に置き換え、市民のボランティアにも頼らざるを得ない。そんな厳しさがうかがえました。
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