3決算について梶原秀明市議が質疑
9月市議会は、7日の本会議で、3つの会計決算(国民健康保険特別会計・介護保険特別会計・市立病院事業会計)について、日本共産党市議団を代表し梶原市議が質疑しました。
低所得世帯などには短期保険証発行せず - 国保特別会計決算
国の政策の制約がある中で、頼高市長が、3年連続で国保税税率の値上げを抑え、保険証取り上げを市長就任直後に止めたことは大きく評価できます。県内でも安いとされる蕨市国保でも、他の保険に比べれば、保険料負担は重くなっています(表1)。
表1:市国保と、他保険との保険料比較 - 3人家族の場合(市国保の資産割は0と仮定)
総収入額
蕨市国保
A社健康保険
協会けんぽ(埼玉県)
300万円
16万3千円
8万2千円
12万5千円
500万円
27万7千円
13万7千円
20万8千円
梶原市議は市の国保運営について、@短期保険証の発行状況、A滞納者の所得状況、B国保の広域化、について質問しました。今井市民生活部長の答弁は次のとおりです。
@短期証は21年10月1日現在、551世帯に発行。重度障害者世帯、低所得世帯、中学生以下の子ども等には発行していない。A表2のとおり。B5月の「国保法」の改正を受け埼玉県は、「広域化等支援方針」を12月に決定する予定。
表2:所得別の滞納世帯数
所得
滞納世帯
割合
未申告と100万円未満
2490
56.9%
100万円〜200万円未満
1015
23.2%
200万円〜400万円未満
488
11.2%
400万円以上
382
8.7%
◇ ◇
短期保険証が、法定の6割・4割軽減を受けている低所得世帯などには発行されず、機械的な運用はしていないことが確認できました。また、表2で示すように、滞納者の8割が所得2百万円以下であり、国保が広域化され保険料が上がると、これらの世帯の困窮がひどくなることも容易に予想されます。
介護認定で軽く出る傾向はあまり改善していない - 介護保険特別会計決算
介護保険制度ができて10年が経過しましたが、介護を受ける人と家族の経済的・精神的負担は重いままです。国に制度改善を求めていく立場から質問しました。河本健康福祉部長の主な答弁は次のとおりです。
(1)保険給付費が08年度比11・7%伸びた主な要因は、介護報酬の増、要介護認定者が増えたこと、川口市に新しい特養ホームができたこと。
(2)所得別の要介護・要支援認定者の割合は表3。認定基準の変更による状況は表4。介護度別の介護サービス利用割合は表5。
◇ ◇ ◇
表3:所得と要介護割合の関係
保険料段階
説明
要介護・要支援の人の割合
1
生活保護受給者など
24%
2
世帯非課税で収入等80万円以下
22%
3
世帯非課税で収入等80万円超
16%
特例4
世帯課税・本人非課税で収入等80万円以下
14%
4
世帯課税・本人非課税で収入等80万円超
8%
5
本人課税で所得125万円未満
7%
6
本人課税で所得125万円〜200万円未満
8%
7
本人課税で所得200万円〜400万円未満
7%
8
本人課税で所得400万円以上
7%
表3は、所得の少ない人ほど介護状態になりやすいことを示しています。部長は、「データを集計してこの傾向を初めて知った。注目したい」と答えました。
表4:国の認定基準変更で軽度に判定された人の割合
判定時期
介護度が軽度になった人の割合
08年11・12月
14.2%
09年4・5月
23.3%
09年11・12月
19.1%
表4は、身体状況が変わらないのに介護度が軽く認定され、必要なサービスが受けられなくなったと、09年度前半に全国で大問題となり、その後一定の改善が行なわれたとされたもの。しかしまだ、軽度に出る傾向は残っています。
表5:介護度別サービス利用割合
介護度
利用割合
要支援1
43%
要支援2
37%
要介護1
40%
要介護2
49%
要介護3
52%
要介護4
55%
要介護5
70%
表5は、介護度1や2では、利用上限額の半分もサービスを使っていない実態を示しています。理由のひとつに、利用料負担が重いことがあります。蕨市は利用料助成制度で、25%または50%の利用料補助をしていますが、この制度の対象者を増やすことも求められます。
病院経営は改善 - 看護師不足が心配 - 市立病院会計決算
市長報告どおり病院経営は大幅に改善されています。梶原市議は、この間の病院関係者の努力に敬意を表明し、現状と課題につい
て質問しました。佐藤病院長の主な答弁は次のとおりです。
(1)スタッフの意識と病院内の空気が変わり、患者さんが増え収入が増えた。
(2)看護師の不足は深刻で緊急課題だ。常勤は応募が少ないので、パートも含めて募集している。