環境福祉経済常任委員会の視察報告(志村委員長、山脇委員)
環境福祉経済常任委員会報告(視察報告)
2011年11月28日
ただいまより、環境福祉経済常任委員会の報告をいたします。
平成23年9月30日に閉会した第4回蕨市議会定例会におきまして、当委員会に付託されました閉会中における継続審査事項は、1、障害者就労ワークステーションについて、2、エコチャレンジ市民節電所事業について、であります。これらの事項に関して当委員会は、去る11月15日に山口県宇部市、翌16日に同県周南市を視察してきましたので、報告いたします。
最初に、宇部市における「障害者就労ワークステーション」について報告いたします。
宇部市は人口約17万人。障害者手帳所持者は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3つを合わせると約9400人で、人口に対する比率は5.41%であり、蕨市の3.52%に比べて高い比率です。平成22年度から、市庁舎内に「障害者就労ワークステーション」を設置し、平成22年度は4人、23年度は3人の障がい者を雇用しています。
「ワークステーション」を設置した背景には、宇部管内の障害者雇用率が県平均より低いことがありました。県平均は、平成20年と21年がともに2.22%に対して、宇部管内は20年が1.83%、21年が1.82%でした。これは、21年の全国平均の1.63%や、法定雇用率の1.80%は超えていますが、市が率先して障がい者の就労を支援しようと考え、「ワークステーション」を設置することにしたそうです。事業目的は3つで、第1に、障害者の就労を支援するため、市役所も1事業所として、障害者を積極的に雇用し、働く意欲のある障害者の自立を促進する、第2に、庁内業務の効率化を図る、第3に、市が率先して知的障害者や精神障害者等を臨時職員として雇用することにより、民間の障害者雇用の促進を図る、というものです。
設置に向けて平成21年11月に、障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、障害者就労支援ネットワーク会議、市の職員課・総務管理課・生涯福祉課により、「ワークステーション」検討会を設置しました。同時期に、市職員の部内研修会や、全庁を対象にした研修と説明会を実施し、庁内でどのような業務が出せるかの調査を行いました。平成22年3月にPRを開始し、4月に担当職員を配置して採用試験を行い、4人を採用。5月から仕事を開始しました。
受験資格は、療育手帳または精神障害者保健福祉手帳所持者および医師の証明がある発達障害者で、実技と面接試験を行いました。実技はパソコンの操作または事務作業検査のいずれかを選択してもらったということです。任用期間は最長2年で、身分は臨時職員。最初の2か月間は試用期間です。勤務時間は8時30分から16時30分まで。勤務日数は月20日程度。賃金は日額4,900円、これは最低賃金を少し上回る額だということです。仕事内容は、市役所内の各課から依頼を受けた業務を、障がい者が「ワークステーション」で処理します。主な業務はデータ入力、文書封入、印刷物修正、書類の仕分けと並べ替え、郵便物開封、書類の印刷と製本、などです。この中で、一番多くの時間を使っているのはデータ入力で、22年度は全体の31.9%、次に多いのが封入で、全体の23.0%でした。データ入力は、建築指導課の建築確認台帳や介護保険課のニーズ調査など。封入作業は、健康推進課のがん検診受診券封入や保険年金課の納入通知書封入などです。
「ワークステーション」の支援員である市職員は2人で、専任1人と兼務1人です。庁内各課の依頼可能業務の洗い出しと実施業務の選定を行い、毎日・毎月の定例業務、長期にわたる業務、随時の業務を調整して業務を指示しています。最初はきめ細かな指示書を作っていましたが、障がい者がそれに頼ってしまうのも良くないので、簡単な手順の作業は業務依頼書や業務指示書を各自が確認して作業するようにしたそうです。また、庁内各課や本庁以外の出先職場にも出向いて作業を行うことも始めたそうです。
働いている人の感想は、「仕事は少しずつ慣れてきて、本当にうれしい気持ちです。難しいこともありますが、うまくやっていくことが大切だと感じました」「仕事に行けるようになり、生活にリズムが生まれ、規則正しい生活ができるようになりました」「決して自分に甘えることなく、どんな仕事も前向きに取り組んでいきたいです」などの想いを書いていると紹介してくれました。
「ワークステーション」は訓練所ではなく、職場としての位置付けですが、支援員が個々の障がい者の適性を把握して研修や目標設定を行うことで、作業能力や適応能力は高まってきており、今年度で2年目になる人は、一般企業に就職することに意欲を持って準備しているそうです。
説明の後に「ワークステーション」を訪れ、そこで働いている障がい者の方から説明を受け、質問にも答えていただきました。
民間の障害者雇用への波及効果はこれからですが、仕事を出している庁内各課では助かっていることと、何よりも障がい者にとって「障害者就労ワークステーション」がすばらしい役割を果たしていることがわかりました。
次に、周南市の「エコチャレンジ市民節電所事業」について報告します。
周南市は人口約15万人。コンビナートが発展していて、CO2排出量の95%は産業部門が占めており、京都議定書に沿ってCO2の削減に取り組んでいます。一方、家庭のCO2排出量については、1人あたりの全国平均が1.3トンに比べ、周南市は1.6トンとかなり多くなっています。これは、1人暮らしが多いことが影響している面もありますが、それにしても家庭のCO2排出量を減らす必要がありますので、どうしたらいいかを考えて「エコチャレンジ市民節電所事業」を平成17年度から始めたということです。
5世帯以上でグループ参加ができます。グループ内の1世帯ごとに、前年の7月から10月までの各月の電気使用量と、参加申し込みをした年の7月から10月までの各月の電気使用量を比較し、減らした割合に応じて活動支援金が計算され、それをまとめてグループに支給します。各世帯各月の活動支援金の額は、電気使用量を減らした割合が4%以上6%未満は100円、6%以上12%未満は200円、12%以上は400円です。前年に参加し、4か月の合計で6%以上削減した世帯は計算方法が別になり、削減率が0%以上6%未満が200円、6%以上が400円です。平成18年度から個人参加もできるようにしました。個人の場合は、4か月の合計で比較し、6%以上削減している世帯に1000円の図書カードを贈呈しています。
21年度からは「キッズ・エコチャレンジ」も始めました。小学校4年生から6年生が対象で、夏休みにどのようなことに取り組むかを記入。取り組んだ結果や頑張ったことを書いて提出するというもので、全員に参加賞、入賞者に1000円の図書カードをプレゼントしています。子どもが参加することで、家族の環境への意識が増加しているのが伺えたということです。
この事業にたくさんの企業が協力しており、協力企業からの報償物品も支給しています。
「市民節電所事業」は環境問題を考えるうえで効果はあるものの、参加世帯が減ってきているので、賞品をいいものにすることや、市民への周知方法を考えていきたいとのことでした。
節電への意識を高める方法として参考になりました。
以上で、環境福祉経済常任委員会の報告を終わります。
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