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【3月市議会】頼高市長が施政方針を表明 - 市民生活が厳しさを増すなか、市民の暮らしを支える市町村の役割が益々重要に

2月25日の定例市議会の初日、施政方針演説に立った頼高市長は、始めに、先日の大雪への対応と被害について報告したあと、市政運営の4つの基本方針を次のように述べました。

「第1は、コンパクトシティ蕨将来ビジョンのスタートの年として、将来ビジョンで掲げた各種施策を着実に推進すること。
 第2は、私が、市長として、市民の皆さんとお約束した2期目のマニフェスト『新あったかプラン』の更なる推進を図ること。
 第3は、4月に消費税率が引き上げられるなど、厳しい市民生活が予想されるなか、市民の暮らしを守る市政を前進させること。
 第4は、引き続き、持続可能な都市・蕨を目指して、土地開発公社も含めた財政の健全化を推進すること。」

続いて4つの基本方針ごとに説明を行い、次に、26年度予算の概要を、まちづくりの6つの基本目標に沿って説明しました。

最後に、「市民との協働こそがまちづくりの一番の推進力である」と再度強調し、日本一住みやすい蕨を目指して全力をあげる決意を述べ、締め括りました。
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 頼高市長が述べた4つの基本方針(概要)は次のとおり。

(1)蕨将来ビジョンを推進する

「コンパクトシティ蕨」将来ビジョンの推進に向けて、次の事業に取り組む。
◎「蕨市地域防災計画」の見直しを図る。竜巻など新たな災害にも対応する方向で検討を進める。
◎公共施設の耐震化を更に促進する。小中学校については25年度末で耐震化率100%を達成した。現在、保育園と公民館の耐震化に取り組んでいる。
◎木造住宅の耐震診断補助率を2分の1から3分の2に引き上げ、新たにマンションなど共同住宅の耐震診断への補助制度を創設する。
◎中心市街地活性化基本計画は計画を充実させ、来年3月の認定を目指す。
◎蕨駅東口コミュニティショッピング道路について基本的な計画作りを行う。
◎中央第一地区の新たなまちづくりについては26年度から事業に踏み出す。
◎わらび学校土曜塾を全小学校で実施する。
◎市有地を活用した認可保育園の整備事業は、社会福祉法人けやき会を選定した。定員は約110名。27年4月の開設に向けて支援する。
◎民間企業との協働による特別養護老人ホームの整備は、27年4月に開設の予定。
◎市有地を活用した障害者グループホームの整備は、27年4月に開設の予定。

(2)マニュフェストの残り3項目を実施へ

2期目のマニフェストは、昨年7月の時点で、全41事業のうち38の事業で実施済み、または着手することができた。26年度に3事業についても推進を図る。
◎音楽によるまちづくりでは、市内で活動する音楽家の皆さんや社会教育委員、市民からの公募委員などによる「音楽によるまちづくり懇談会」を設置する。
◎公共施設のインターネット予約では、自宅のパソコンや携帯電話から予約できるシステムを導入すべく、委託料を計上した。
◎蕨駅東口コミュニティショッピング道路の基本的な計画作りに向けコンサルティング委託料を計上した。

(3)消費税増税への対応と市民の暮らしを守る施策

4月からの消費税率引き上げにより市民生活が厳しさを増すことが懸念されている。蕨市財政にとっても一般会計で1億1200万円程度の負担増となる。価格への適正な転嫁が求められていることや市の支出も大幅に増えることから、使用料や手数料、上下水道料金などに3%を上乗せせざるを得ないと判断し、17条例を一括して改正する(関連記事2面)。増収額は一般会計ベースでは1070万円程度となる。市民の暮らしを守る施策を更に継続、前進させる必要があると考えている。

全世帯の約4割が加入している国民健康保険については、低所得者の加入が多く、市民の健康と国民皆保険を支える要となる制度であることから、一般会計から約12億4700万円を繰り入れ、基本的な税率を引き続き据え置く。

生活が困難な世帯の子どもの学ぶ権利を保障するため、就学援助制度の拡充を図る。所得基準について、25年8月に行われた国の生活扶助基準の引き下げを反映させず、必要な支援を打ち切られる方がでないよう配慮した。また、借家世帯については、年間74万4千円を上限とした家賃相当額を所得の基準に上乗せし、対象者を拡大する。

(4)財政健全化 ― 子どもたちに借金のツケを残さない


財政健全化の推進について、特に土地開発公社の債務残高の多さは、前市政の最大の負の遺産であり、蕨の将来の市政運営に重大な支障を来たしかねない問題であることから、その健全化を積極的に進めてきた。 借金残高は6年間で363億円から326億円に減少し、そのうち、土地開発公社の債務残高も77億円から59億円に減少した。

しかし蕨市は、標準財政規模に対する土地開発公社の債務残高比率が県内で川口市についでワースト2位であり、深刻な状況である。

そこで昨年9月、新たな土地開発公社の健全化計画を策定した。24年度末に59億円ある債務残高を、33年度までに13億円までに減らす。9年間で46億円もの債務を減らすことは大変厳しい計画だが、蕨の子どもたちに借金のツケを残さず、蕨市が持続可能な都市として発展するため、この計画を着実に推進していく。