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市財政を考える(4)-見直しが進む中央第一区画整理事業

これまで蕨市の財政問題について、蕨市の20年間の財政推移、借金の目的と推移、財政健全化比率などを見てきました。今回は、中央第一区画整理事業の課題について考えてみます。

頼高英雄市長は今年の3月議会で、事業の見直しの方向性をすでに表明しています。従来計画で進めた場合、市負担だけでも約72億円になること、規模を縮小したとしても約32億円の負担が見込まれることから、区画整理の手法を見直し、地区計画によりまちづくりへと誘導することを柱とする方針を打ち出したものです(3月議会での市長施政方針)。

行政内部での詳細な比較検討結果が全議員・会派に説明されています(3月議会直後の全員協議会)。それによると、従来計画(前市長のもとで作られた06年3月の実施計画案)、代替案、見直し案などが分析されています(表)。

 従来計画現道重視案区域縮小第3案見直し案
地区面積(u)65,33265,33220,986(未定)
移転棟数23222691(未定)
総事業費(百万円)11,0888,6105,2563,749
市負担額(百万円)7,2375,5723,1951,875
事業費に占める市負担割合65%65%61%50%


表でわかるように、従来計画では、移転棟数232戸で市の負担は72億3700万円です。最も区域を縮小した区域縮小第3案では、移転棟数91戸で、市負担31億9500万円となります。この第3案で、仮に毎年3億円ずつ市費を支出したとしても、11年かかる計算になります。いま蕨市では、学校校舎の耐震化、老朽化した公共施設の対策なども待ったなしとなっており、年間3億円をこの事業に使うのはきわめて困難です。

表の見直し案では、市負担は18億7500万円と少なくなります。加えて、区画整理との違いは、都市計画の見直しをすることによって、建築規制が解除できる利点があることです。10年、20年という長期にわたり、鉄筋等の建築ができない(建て替えができない)という不都合を解消できること、同時に、区画整理の目的としていた、緊急車両の通行が可能な道路等の整備も、進めることができる、などの利点があります。

以上のような見直しを具体化するために、埼玉県などの関係機関との協議、関係権利者を含む市民とともに、まちづくり計画をつくっていくことが求められます。

蕨市は5月に住民説明会を行ったことに続き、夏には権利者の意向調査を行いました。その結果もふまえ、今月14日に再度住民説明会を行うとしています。