蕨駅西口再開発事業の問題点が明らかになる
図1 第一工区の区域
―現計画に公共性なし―
市は第一工区の事業計画決定を強引に進めようとしていますが、日本共産党市議団の調査と議会での質問で、様々な問題点が明らかになりました。
二四〇〇?の公有地を手放して得る床は一六〇〇?
第一工区内には、市と蕨市土地開発公社所有地を合わせると二四四九?の公有地があります(図1参照)。この土地を提供して公共公益施設の床をもらう(権利床という)のが市街地再開発事業の仕組みですが、再開発後の市所有地は従前の二割以下(しかもマンション購入者等との共有名義)になるのに、市が得る床はわずか一六二四?です。
市の補助金・負担金は四億八千万円
土地の提供とは別に市は、マンション建設等に対する補助金を約三億五千万円、道路を拡幅するための市負担金約一億二千万円、合わせて約四億八千万円を支出します。
線路際の道路を廃止するのは道理がない
再開発を行おうとしている地域は二十八年前に区画整理事業が終わった地域であり、住民に二五%の土地を提供させて道路を整備しました。その道路を廃止すると不便になります。
再開発をやめれば、再開発で得られる床面積以上の公共施設が建設できる
第一工区内の貨物駅跡地(図1のAの部分)は一八三九?あります。再開発をやめて、そこに公共施設を建設すれば、敷地面積の二倍の床面積(約三六〇〇?)の施設が余裕をもって建設できます(容積率の限度は四〇〇%)。老朽化したと きにも自由に建替えができます。ところが再開発事業では、約一六〇〇?の床しか得られず、建替えも自由にできません(土地が共有名義のため)。市民にとっ て、再開発事業でいいことはほとんどありません。
再開発準備組合に、大手建設会社の社員が無償で派遣されているのに、市は「知らない」と答弁
再開発準備組合に「事業協力者」として大手の建設会社が参加しています。その会社から再開発準備組合の事務局に、社員が一名無償で派遣されています。その会社名について都市整備部長は、「会社の名前は言 えない」と答弁しました。また、派遣されている社員の給料が会社持ちだということを「知らない」と答弁しました。会社が社員を無償で派遣するのは、何らかの見返りを期待してのことですが、給料をどこが負担しているかを知らないのは、再開発事業に対する市のいい加減さが現れています。
建設したマンションを買い取り、販売する不動産会社が内定しているのに、会社名を公表しない
再開発組合を設立する際に作られる「定款」には、マンションの床を買い取る「参加組合員」の名前と、買い取る部分、及び買取価格の概算額が明記されます。その内容は、市が受け取る公共公益施設の床面積に影響しますし、再開発事業の成立にも影響します。
「参加組合員」になる不動産会社は現在「参加組合員予定者」と呼ばれて再開発準備組合との間で覚書が交わされ、再開発準備組合の組合員になっています。「参加組合員予定者」は、事業計画の内容などに大きな発言力を持ちますので、覚書の全文や会社名、その会社を選んだ経緯等を公表すべきですが、市は、会社名を「言えない」と答弁しました。志村議員が情報公開請求で「覚書」のコピーを求めていますが、「準備 組合の意見を聞いてから公開するかしないかを決める」として、六十日以内に回答する(基準は十日以内)との文書が送られてきました。市民に大事なことを知らせずに再開発事業を進めるのは問題です。
再開発準備組合をかくれみのにして、市民の利益に反する再開発事業を進めるべきでない
市長は「第一工区の再開発は再開発組合が行う事業であり、市は一組合員だから、何でもかんでも情報を提供するわけにはいかない」といいます。しかし、事業区域内の半分以上の土地を市が所有しており、市民の財産である土地に係わる問題ですから、市民に情報を公開するのが当然です。市長は、再開発準備組合をかくれみのにして、市民に不利益をもたらす事業を進めるべきではありません。
市民の皆さんの意見をお待ちしています
事業計画の概要と問題点が明らかになりましたので、市民の皆さんのご意見を党市議団までお寄せ下さい。
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