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市政検証委員会報告書について

市政検証委員会の報告書が公表される
―前市長のもとでの失政と会議の形骸化などが明らかにー

 「長期政権のしがらみからの脱却」を図ることを目的に設置された「市政検証委員会」は、頼高英雄市長が委員長、部長会議の構成員が委員になって、07年8月から今年の4月まで10回の会議が開催されました。その市政検証委員会の「報告書」がまとまり、市のホームページに掲載されました(5月16日)。
 検証項目が6項目と少ないことやもっと踏み込んでほしいと感じる部分もありますが、大胆に問題点を指摘しているところもあり、大変重要な検証がされたと言えます。
 検証項目は、@管理職の数A人権行政B入札制度C土地開発公社D公共施設の維持管理E駅西口再開発事業・中央第一区画整理事業の6項目でした。この中で特にC・D・Eの3項目は、現在、蕨市が直面している重要課題です。そのため、どのような分析・検証が行われるか注目していましたが、高く評価できる検証がされており、頼高英雄市長及び部長会議の総意としてこういう形にまとめられて公表されたことは大きな意義があります。
今回は特に3項目について報告書の内容を紹介しながら、日本共産党蕨市議団の見解を述べたいと思います。

〈土地開発公社について〉
 土地開発公社の借金は約77億7千万円(07年3月31日現在)ですが、そのうち中央第一区画整理事業用地分が約24億1千万円、蕨駅西口再開発事業用地分が約20億4千万円で、この2つの事業用地分で全体の57%を占めています。「報告書」では中央第一区画整理事業用地に関して、「先行取得した土地には、1坪当たりの単価が約629万円(総額約8億3千万円)、約511万円(総額約12億6千万円)という土地も含まれており、今後、蕨市はこれらの土地を簿価で買い戻さねばならず、大変な財政負担が予想される。仮に売却するとしても実勢価格との差が生じるため、市の負担は避けられず、市政にとって重荷になっている」とし、「バブル経済崩壊後の土地下落の動向や、結果として長期保有に至った現状から見て、当時の判断の見通しの甘さを指摘されてもやむをえない」とまとめていることは妥当です。これらの土地購入に日本共産党は反対しましたが、賛成した議員は責任を感じてもらいたいものです。

〈公共施設の維持管理について〉
 蕨市の公共施設は06年4月現在65施設で、総延べ床面積が約15万u。そのうち小・中学校の施設が総延べ床面積の約45%を占めています。その中の4つの小・中学校を含め、市庁舎、中央2丁目市営住宅など10施設が建築後40年経過しています。それ以外の施設も老朽化が進んでいますが、今まで必要なメンテナンスが行なわれてきませんでした。
「報告書」では、「公共施設の維持管理の問題は、これまで将来を見通した計画的な改修が行われてきていない」「耐震改修についても、平成20年度からようやく学校の耐震化工事が始まる」「公共施設の維持管理について市政の重要な課題として位置付け、対策を立てることが必要であったが、本質的な対応を図れず、問題が先送りにされてきた」と述べています。まさにその通りであり、日本共産党は相当前から指摘してきたのに当時は受け入れられず、たいへん残念に思います。その付けが現在あらゆる施設で表面化してきており、前市長からの大きな負の遺産となりました。
今後の公共施設の維持管理について「報告書」は、「市政における取り組みの優先順位を高め、そのための財源確保に努める」とする一方、「施設全体の総量の削減を目指した再整備・再配置を進めていく」としています。それだけ公共施設の維持管理の問題は切迫した問題だということです。

〈駅西口再開発事業・中央第一土地区画整理事業について〉
 駅西口再開発事業について「報告書」は、「財政面での見通しが不十分であった」「公共施設のあり方という観点から、駅前の位置付けも含めより慎重な検討が必要だった」「市民意識調査を見ても、市民の意識は変わってきており、市政全体のなかでの優先順位の見極めが求められている」とし、「平成20年4月に設置した蕨駅西口まちづくり市民検討委員会等において市民の意向を把握していく」としているのは妥当です。
 中央第一区画整理事業について「報告書」は、「財政見通しがほとんどないまま現在に至っている。土地開発公社の抱えている高額の土地も多くが中央第一土地区画整理事業に起因してのものとなっている」とし、今後の方向については「権利制限の緩和等も含め、いかに現状に見合った見直しをはかることができるか検討を進めていくことが求められる」とまとめられており、まったく同感です。

〈全体のまとめについて〉
 6項目の検証のまとめとして「報告書」は、「検証作業全体を通して明らかになったことは、公共施設の維持管理の問題にしても、中央第一土地区画整理事業や駅西口再開発事業の問題にしても、市職員の間でそれなりの問題意識があったにもかかわらず、それらが政策の意思決定過程において反映されなかったことである」「市の意思決定機関であるべき部長会議も形骸化し、十分議論が尽くされていたと言い難い状況にあった」と述べています。部長の方々がこのように認めていることは、たいへん重要なことです。今後も真摯な反省を忘れずに、前市長の市政運営でまずかった部分は転換を図り、市職員が一丸となって市民本意の市政運営に努めることを期待します。
 現在の厳しい財政状況と今まで見てきたような負の遺産がありますから、今後の市政運営は大変ではありますが、日本共産党蕨市議団も積極的に改善提案を行い、市民が「蕨市に住んでいて良かった」と思える「まちづくり」に努力する所存です。今回の「報告書」に対する意見や日本共産党に対する意見・要望等をお寄せください。