口座振替で節税も - 保険料の年金天引き問題
後期高齢者医療制度の保険料の天引きが4月から始まったことに、国民の批判が起きています。本人の同意のない天引きに納得できないという意見とともに、天引きすることで、一部の世帯で税の負担が高まる場合があるからです。政府はこの批判をかわそうと、制度の「見直し」を打ち出しました。年金収入が180万円以下の場合は、「天引きを中止」し、子ども(世帯主)や配偶者などの口座振替にできるというものです。蕨市では、10月から口座振替にするには8月12日までに申請するよう呼びかけています。(12月からの場合は9月30日までに申請が必要)
「天引き」によってなぜ税負担が高まるのでしょうか。例えば、妻の年金が153万円程度以下の場合は、妻の保険料(埼玉県では均等割のみで42530円)は、夫が事実上負担し、夫の所得から社会保険料控除できることになります。ところが「天引き」では、保険料は妻が負担しているとみなされ、夫の所得から社会保険料控除ができず、その分、納税額が増えるのです。しんぶん赤旗日曜版7月27日付は、4人世帯で27500円、2人世帯で7000円負担が増える事例を示しています。
口座振替の手続きをすれば、この分の税金が節約できることになります。ただし、子に扶養されていても後期高齢者が世帯主の場合は、この制度が使えません。矛盾だらけの後期高齢者医療制度を導入しなければ起きなかった負担増です。
さらには、06年の「医療制度改革」で、国保税の年金天引きも今年10月から始まり、同じ問題が発生します。(74才以下の妻の国保税を、75才以上の夫の所得から社会保険料控除できないという事態)。部分的な見直しではなく、制度そのものを廃止すべきです。