医療にお金をまわせ!社会保障のための消費税などとごまかすな! - 社会保障学校行なわれる
8月24日、県庁近くのときわ会館で第16回埼玉社会保障学校が開かれました。主催は埼玉県社会保障推進協議会。午前は、「消えた年金とこれからの年金のゆくえ」、「廃止するしかない後期高齢者医療制度」の2つ、その分野の第一人者(公文昭夫氏と相野谷安孝氏)による講義が行なわれました。
「年金問題」では、社会保障の財源問題で、6月に出た社会保障国民会議の中間報告について論及。中間報告は、直接「消費税」に言及してはいませんが、「給付の裏側には必ず負担がある」とし、国民に負担を求めています。同会議は5月に消費税18%化の試算も出しており警戒すべき事態です。公文講師は、財源問題の3つの原則こそ解決の道だと、@生存権保障は予算配分の最優先課題、A応能負担が社会保障の原則、B雇用を安定化して財源を豊かにすること、を訴えました。
「後期高齢者医療問題」では相野谷講師が、制度導入後5ヶ月間の国民の怒りを、アンケートや、新聞・週刊誌・みのもんた氏や古舘伊知郎氏などの発言をとりあげ、それらのニュースソースが社保協・民医連・年金者組合・生健会などであることを紹介。身近の事例から告発するという運動スタイルがマスコミと政治を動かしていると述べました。なぜ「後期高齢医療」を政府が出したかの、そもそも論もときつつ、日本の医療費はOECD諸国の中でも少なく、「医療にお金をまわせ」の世論を広げようと呼びかけました。埼玉県広域連合議会の加川議員(日本共産党さいたま市議)から、7月の連合議会から今年度の保険料軽減などについても報告されました。
午後は神戸大学教授の二宮厚美氏が「日本の社会保障制度の現状と打開の方向」と題して講演。憲法25条の生存権を保障するには3つの視点が必要とし、@現金給付型所得保障(年金や生活扶助、児童手当など)、A現物給付型の社会サービス(介護給付・医療給付・保育サービスなど)、B公的なルール・規制(労働基準法・食品の安全確保・建築基準法・定員配置基準など)、について詳しく述べました。そのうえで、小泉内閣以来の構造改革は、Bの規制をゆるくし、Aのサービスを個人対会社の売り買いの対象にし、@の現金給付水準を切り下げるものだと、教育バウチャー制度などを例にして述べました。氏は教育者らしく、子どもの問題にも言及。高校教師と話題を紹介。高校卒業生に10年後の自立の見通しがなく、進路指導に確信がもてないとの話にもふれ、生存権保障の3つの視点の重要性を力説しました。
社会保障学校には日本共産党から志村茂・梶原秀明両市議が参加しました。最後に主催者から「やめてよ消費税増税! 9・24埼玉県民集会」(さいたま共済会館・午後6時半開会)が呼びかけられました。東北大学大学院経済学研究科長の日野秀逸氏が特別講演をします。
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