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健康保険証とりあげません - 551市町村で資格証ゼロに - 頼高市長も資格証発行せず

国民健康保険税(料)を支払えない世帯から、保険証を取り上げてしまうことが、全国で問題となっています。保険証が取り上げられると代わりに資格証が発行され、診療機関窓口で10割の負担をしなければなりません。厚生労働省は10月30日に「資格証明書の発行に関する調査」を初めて公表し、資格証を発行していない自治体は551市町村(全自治体の約3割)であることがわかりました。住民の運動や日本共産党の議会質問などが力になり、資格証を発行しない自治体が増えるなど、自治体の対応を改善させています。

県内では資格証発行が半減する

埼玉県では、昨年2月の県議会で日本共産党の角靖子県議(当時)が上田知事から、「人道主義に立った形での対応が必要」との答弁を引き出し、改善の足がかりをつくりました。県国保医療課はこのほど県議団に、県内市町村の資格証や短期保険証の交付状況を明らかにしました。それによると、今年6月1日現在で、資格証発行は全県で3871世帯。昨年同期から53%も減少しました。特に、昨年頼高市長が誕生した蕨市で、382世帯からゼロになりました。川口市では昨年の4163世帯が今年504世帯と激減、さいたま市では旧岩槻市で発行していたものをゼロにしました(表参照)。

(表)近隣市の資格証発行数
自治体名2007年6月2008年6月
蕨市3820
川口市4163504
戸田市44
鳩ヶ谷市00
さいたま市190
草加市276239


命に関わる資格証発行やめよと、市民と共産党が奮闘

滞納世帯への資格証の発行は生存権をおびやかすものとして、社会保障をよくする蕨の会(県社保協加盟)や民主商工会などが改善を求めてきました。滞納世帯の大半は低所得世帯です。保険料が払えないほど逼迫している人に、医療費を10割負担させるなど、医者に行くなというに等しい仕打ちです。

蕨市では前市長の昨年3月市議会で、資格証発行はやめるよう山脇議員が一般質問で求め、市は「乳幼児(の世帯)は除外(発行しない)」すると表明。その後の市長選挙を経て、今年3月議会で頼高市長が「市民の命に関わる問題であり、基本的に発行しない」と発言、4月からの発行をゼロとしたものです。

中低所得者の保険税負担を軽減せよ

国保をめぐっては、保険税の重い負担がどの自治体でも問題となっています。その原因は、歴代自民党政権が1984年の国保法改悪以降、国の責任を後退させていることです。自治体国保の総収入に占める国庫支出金の割合は、この20年間で約20%も減らされました。日本共産党は総選挙政策で、国庫支出金を84年の水準に戻すこと、国保税の逆進性を緩和して中低所得者の負担を減らすこと、国の責任で年間一人1万円(四人家族なら4万円)の応益割部分の引き下げを求めています。