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社会保障と地方自治をこわす「地域主権」- 埼玉自治労連研究集会に参加して - 市会議員 かじわら秀明

6月18日に第31回埼玉地方自治研究集会(自治労連埼玉県本部主催)が浦和区内で開かれ、参加しました。「埼玉県政の今と防災福祉のまちづくり」と題し、公務に関わる人などから、多彩な報告がされましたので、一部を紹介します。

一つは、地域主権のねらいについて。すでに様々指摘されていますが、保育園の設置基準を自治体が定められるようにするなど、国の義務や責任を放棄することは大きなねらいでしょう。財政力の弱い自治体は基準を下げることを迫られます。国や県の権限を基礎自治体に移譲する(後述)といいながら、人と財源の保証はありません。ハローワークの県への移譲が一部で議論されていますが、川口のハローワークが埼玉県内の情報しか扱わなくなったら、県民がどんな不便を受けるか明らかです。本集会ではこのように問題を整理し、地域主権のねらいが、社会保障等の国の責任の放棄や、地方自治のあり方を自己責任に変える(金を出せる範囲での行政しか受けられないようにする)ことにあると告発しました。

いま一つは、「地方主権」に関し、埼玉県から各市町村への権限移譲が進められているという問題です。県の第3次権限移譲方針では11年度から13年度で185の事業を市町村に移すとしています。たとえば身体障害者手帳の交付の事務は、現在県の事務ですが、もし市に移譲されると、診断書の審査や障害等級等の決定をする専門性が市に求められ、自治体によって認定の格差が生じると、報告がありました。他にも、介護保険・障害福祉サービス事業者の指定・取り消しの事務や、育成医療費の支給事務も、医師免許などの専門性が必要など、様々な問題が指摘されました。県事務の市町村への移譲によって、住民サービスが低下して、市民のくらしを守る自治体の役割が失われる恐れがあると報告されました。自治労連の資料によると、蕨市への移譲も約70事務が県で検討されているとのことで、重大な関心を持って対処していかねばならないと感じた集会でした。

本集会では、特別報告として、埼玉県知事選挙(7月14日告示)予定候補の原冨悟氏が講演。「県と市町村がタイアップして暮らしを支えなければならない」と訴えました。