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自民党政治以上のひどい社会保障改革 - やらずぶったくりを許すな - 社会保障の会が講演会

講演する相野谷氏
講演する相野谷氏
社会保障をよくする蕨の会は12日午後に自治会館で、講演会・「税と社会保障の一体改革とは何か」を開催、中央社保協事務局長の相野谷安孝(あいのややすたか)氏が講演しました。

冒頭、相野谷氏は、野田首相のTPP参加表明に厳しく抗議。TPPは農業分野だけでなく、医療や介護など社会保障分野にも大変な影響があると述べ、国民運動と世論を高め、撤退をせまろうと呼びかけました。

本題の社会保障「改革」について氏は、政府が8月にまとめた基本方針(野田首相は当時の財務大臣)に沿って、民主党内閣の狙いを詳しく論じました。

第一に、子ども新システムの目的は、子育てを介護保険と同じ仕組みにすること。民間企業が儲けやすいように、子ども毎に保育時間を定め、その時間を超える保育は全額自己負担とし、一人当たり面積要件を緩和しようとしています。保護者は保育園との個別契約を強いられます。

第二に医療分野では、1〜3割の定率負担とは別に、定額負担(当初は百円)の導入を狙い、3割を越える自己負担を求めます。そもそも日本の医療費は高くなく、GDP比で8%。ヨーロッパは10%から12%。患者の自己負担を増やして、受診抑制・入院抑制させて、医療費全体を増やさない仕組みをいっそう強めます。その先には、保険の使えない自由診療を拡大し、株式会社病院をアメリカから参入させ、手厚い医療はお金持ちしか受けられなくなります。

第三に年金分野。年金受け取り年齢を68歳以上に先送りすることと、マクロ経済スライドで年金額を大幅に下げます。数日前の夕刊フジ、サラリーマン1880万円の年金減、との1面大見出しを紹介し、「これは国家的サギだ」と告発しました。

他にも、介護・国民背番号制・税制などの「改革」にふれながら、次に財源問題に言及。「一体改革」の最大の狙いは消費税増税です。民主党内閣は2015年頃に消費税10%をめざしています。団塊の世代がすべて75歳以上になる25年度に、社会保障の公費は61兆円と試算。これを消費税でまかなう考え。税1%で2・5兆円なので、単純計算で消費税は24・4%になると、政府の狙いを暴きました。消費税はどんどん上げていくのに、社会保障はけずっていく、必要な時にサービスは受けられない、まさに、やらずぶったくりだと、政府の狙いを糾弾しました。

一方で、日本にはお金があるという、政府もマスコミもあまり触れない、触れたがらないことも指摘します。資本金1億円以上の大企業で317兆円の内部留保があり(うち10億円以上では257兆円)、うち現金化が容易な預金性資産は99兆円(この2年で16兆円増えている)あることを示し、大企業の社会的責任を求めました。また、軍事費の無駄も指摘。航空自衛隊松島基地で、3月の津波で18機の戦闘機が壊れたが、津波が来るまで30分、それまでに飛び立てなかった戦闘機がはたして必要なのか。12機は廃棄され残りの6機の修理に1千億円も使っていると、無駄ぶりを指摘しました。

最後に氏は、聞くだけで背筋が寒くなる「一体改革」。こんなものを1ミリたりとも許さない。政府の狙いと、日本には実はお金があることを皆に知らせていこう。1千万署名を広げようと、呼びかけました。

講演会には、日本共産党から4市議全員が参加しました。