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研修会参加報告(鈴木さとし)

企業主導による再開発の問題点とまちづくりの展望

 8月24日、NPO法人区画整理・再開発対策全国会議が主催する「夏の自治体議員研修セミナー・市街地再開発―基礎から体系的に―」に参加しました。
 講師は、同NPO事務局長・世話人の遠藤哲人氏。再開発に対する住民運動の学習・研究・経験交流活動の中心を担ってきた一人です。また、最近の再開発の傾向については、「再開発が都市計画を改変していく流れ」「企業主権改革ともいうべき状況」と指摘。企業による事業化の中で地域の破壊、住民の追い出しが進む状況に対して、住民が住み続けられる低層再開発の可能性を提唱し、著書とともに注目されています。今回の研修は、再開発制度の基礎を学ぶことを通して、「都市再生」「防災対策」として展開されている「再開発」の今日的問題について理解を深める内容です。
 午前は、都市計画の体系と再開発事業の基本的な内容の講義。「タダで家が新しく…」といった誤解を解くことを入口に、再開発を@権利変換A保留床を整備し売却する不動産事業B幹線道路・駅前広場などの公共施設づくりの角度から解説するなど、今日的問題を考える基礎が語られました。
 午後は、権利変換を具体的モデルを通して検討し、土地を床に「変換」する意味を検証。また、企業主導の再開発「地域再生」が、際限のない高層化と容積率アップなどの都市計画そのものの改変を迫る事態に対してのメカニズムの解明、住み続けられないまちづくり問題の指摘とともに、対案としての「低層再開発」の可能性とが語られました。
 「住み続ける」ことを目的にした「まちづくり」の視点は、蕨のまちづくりを考える上で活かすべき内容です。企業主導に流されることなく、住民視点での都市計画本来の意味を活かしたあり方を考えていきたいと感じさせる研修でした。