第20回埼玉社会保障学校に参加して(志村しげる)
埼玉県社会保障推進協議会が主催の「第20回埼玉社会保障学校」が8月26日、さいたま市のときわ会館で開催され、蕨市から5名が参加しました。
講師は反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士、社会保障研究者の三成一郎氏、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会副会長の新井たかね氏の3名で、それぞれ1時間30分ずつの講義でした。
宇都宮弁護士は、自らの生い立ちと反貧困のたたかいに取り組み始めたきっかけを最初に話し、▼サラ金業者のすさまじい取立ての実態と金利を20%以下に抑える法律を制定させたこと▼働いても貧困から抜け出せないワーキングプアを作り出す非正規雇用の増大▼日本は貧困大国であり、民主党政権下で貧困率が増加したこと▼生活保護バッシングと保護を受けにくくする動き▼証券優遇税制により高額所得者の税金負担率は所得が数百万円の人より低い実態▼消費税の問題点、などを豊富な資料を示して話してくれました。
三成氏は始めに、15年余の新自由主義的「構造改革」政治が日本社会を破壊したとして、▼労働法制の規制緩和が雇用破壊を引き起こし、膨大なワーキングプアを出現させた▼社会保障を「商品」に変質させ、社会保障から多くの低所得者を排除した▼小泉「構造改革」政治のもとで大増税の強行と雇用・社会保障の破壊が加速され、「自己責任」と「分断」を当然視する社会がつくられた、と話しました。また、野田内閣がやっていることと、「社会保障と税の一体改革」の3党修正合意は社会保障をどのように変えようとしているかを分野ごとに説明し、冷酷非道の政治だと批判しました。そして、「構造改革」路線と決別するための当面の課題とたたかいについて話し、私たちの武器は質・量ともの「対話力」だとし、今が頑張りどころだと結びました。
二人の話は具体的で分りやすく、頑張ろうという気持ちを起こさせる話でした。
新井氏は娘が重度障害者だということを話し、▼養護学校教員や障害者施設職員の温かい接し方で育ったこと▼「福祉労働」は人間社会の財(たから)だが、処遇の劣悪さから人材確保が困難なこと▼障害者自立支援法の問題点と裁判闘争▼民主党政権の誕生と裁判和解について▼障害者総合福祉法に向けた骨格提言とそれが踏みにじられた問題▼思想・信条が違う人たちの団結と様々なたたかいをしている人たちとの共闘、及びそうした運動を通しての教訓など、胸を打つ話がされました。それにしても、障害者が必死の思いで裁判をたたかい、様々な意見がある中で裁判に和解したのに、それをも裏切る民主党政権のひどさにあらためて怒りがこみ上げました。