原発を考える〜平和と文化講演会
詩人アーサー・ビナードさん 原発を語る
11月25日、原発を考える蕨市民の集い実行委員会が主催する企画「原発を考えるV」が行われました。講師は、米国ミシガン州生まれの詩人アーサー・ビナードさん。ビナード氏は、詩人・絵本作家・エッセイストなどとして文筆活動を行っている他、平和や原発などについて考える講演会の講師としても人気です。
東顯実行委員長、頼煢p雄蕨市長の挨拶に続いてステージに立ったビナードさんは、はじめに、今年3月にさいたま市で予定されていた講演会が、タイトルが問題と自民党の国会議員が問題視し、結局開催できなくなったことに触れ、「セシウムという言葉を問題にして騒いでも、本質を解決することにはならない」とし、「今日は、文化・文学の課題として言葉で何ができるかという話をしたい」と語り始めました。
故郷のミシガン州は五大湖に近く原発などの核関連施設が多くあったこと、水爆実験の死の灰を浴びた第五福竜丸の話を聞き内部被曝の影響をどのように表現するか考えていたとき「鼻歌3丁矢筈斬り(真二つに斬られているのに、斬られたことを感じさせないほど鋭い斬り方の表現)」という言葉に出会ったことなどを紹介。さらに、ウラン濃縮や核分裂の説明をしながら、「使用済み燃料棒≠ニいう名前は、人を殺す有害な放射線を出し続けている状況を感じさせない詐欺的な名称。ゼツボウ≠ェ相応しい」「本来は核分裂反応装置≠ニでも訳すべき言葉が原子炉≠ニ表現され、危険性が覆い隠されている」「原子炉はジリジリ≠ニ反応する広島型原爆であり、核兵器の燃料となるプルトニウムを生産することこそ核開発の本筋の目的」「たかが発電機のために危険な核分裂を行うはずがない」「核の平和利用≠ェ演出されてきた」など、詩人らしく、原発問題の本質と危険性を、推進する勢力がつくった言葉のごまかしを取り払って指摘。原子力発電のごまかしに惑わされずに、核開発をやめさせることが必要と訴えました。また、「無関心な人との壁を言葉の力で取り除くことは可能か?」との質問には「時差があるだけ。影響はみんな一緒であり、気付く時期は違うが、わかりあえないわけがない」と答えました。
閉会の挨拶では、今日の講演で知ったこと、感じたことを語り拡げることが呼びかけられました。
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