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ドキュメンタリー映画「標的の村」を観て - 市会議員 鈴木さとし

3月29日、ドキュメンタリー映画「標的の村」の蕨上映会が開催されました。

この映画は、全国ニュースから完全に黙殺された事実―2012年9月29日、アメリカ軍・普天間基地が基地やオスプレイ配備に反対する県民によって完全に封鎖された―を軸に、沖縄の「現実」を長年の取材映像で綴ったもの。美しい森に隣接する高江地区での穏やかな暮らし、その森でオスプレイ発着用ヘリパット建設を強行しようとする防衛施設庁と住民たちとの攻防、圧倒的な力をもつ国が子どもを含む住民たちを訴える裁判、県議会の決議や県民大会の声も無視してオスプレイ配備を推し進める国、涙を流して抗議する県民たちを排除する沖縄の県警・警察官、基地の存在に痛めつけられてきた沖縄県民の長い歴史、高江の上空を我が物顔に飛ぶ大型ヘリと住民を標的のように見つめる米兵…、まさに「伝えきれない沖縄」が「スクリーンにたたきつける」ように描かれていました。

理屈っぽく退屈…ドキュメンタリー映画にそんな偏見をもっていた私にも、「標的の村」の「現実」はハリウッド映画の何百倍もの迫力と重みで迫ってきました。登場する一人ひとりの思いが丁寧に描かれ、国やアメリカ軍の巨大な力を前に命がけで反対する姿に涙が止まりませんでした。

基地の前に座り込む住民・県民たちが、排除しようとする沖縄県警の警察官に「何十年こんなこと続ける?ウチナンチュ同士で」「警察も本当はこんなことやりたくないんだろ」「県民とたたかいたくないんですって言えよ」と迫るシーン。沖縄の「現実」を知らないまま暮らしてきた私たちにも同じくつきつけられているように感じました。

上映前に沖縄タイムスの屋良記者、「標的の村」の三上監督のメッセージ映像が紹介されました。「沖縄の犠牲を前提とした安全保障は持続可能ではない」「全国の自主上映に期待」との言葉が重く耳に残りました。