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自治研で埼玉県政を学ぶ - 市議会議員 梶原秀明

報告する3人の研究者(=9日、埼玉教育会館)
報告する3人の研究者(=9日、埼玉教育会館)
埼玉自治体問題研究所(平野方紹理事長)が9日、埼玉教育会館でおこなった県政分析シンポジウムに参加してきました。各地の行政研究家の他、日本共産党の村岡まさつぐ県議、守谷ちづこ・さいたま市議(県議予定候補)なども出席しました。

シンポジウムでは、岩見良太郎氏(埼玉大学名誉教授)、大谷国夫氏(自治研・研究員)、平野方紹氏が報告しました。岩見氏は、国の立地適正化計画に全国407自治体、埼玉県で16自治体が手を上げていると紹介。特に大宮など政令市での計画を示し、「都市の持続ではなく開発を持続させるものだ」と批判。学ぶべき具体例として草加市のリノベーションまちづくりをあげて、対案の方向を示しました。

大谷氏は全国商工団体連合会での長い活動経験から、地域経済振興について報告。地域の振興には住民所得を増やすことが最重要だと述べ、「地域資源を生かした産業の育成・振興」、「収入の安定と向上へ、公契約条例を制定する」など6点を提言しました。

平野氏は県政の20年間の変遷を、県の一般会計予算の構造と、市町村会計との比較で言及。県の関心事は、予算比率の大きい、教育(主に義務教育関連の教師の人件費)・警察・道路行政にあり、福祉は補助金行政が中心で、細かな住民福祉には関心がむかなくなっているとしました。法律上は福祉経費の半分以上を国が負担するはずなのに、実際は31%(平成30年地方財政白書の民生費の財源構成比)。一方、地方の負担は62%と指摘。国が地方を財政的に締め付け、行政の裁量を下げてきたが、同じことを埼玉県政は国に追従してやっているとし、国・県が、市町村に身銭を切らせて福祉を進めさせている構造を示しました。

平野氏の報告の中で、埼玉県の可処分所得は日本一(「データで見る県政・第27版」17年12月)なのに、県民に豊かさの実感がないとの指摘や、畑県政(72年から92年)、土屋県政(92年から03年)、上田県政(03年から現在)、それぞれの知事と、県民・県議会・県内首長との関係の分析(例えば、上田県政は県議会と対立するが、国の政策理念を先取りする国への追従と、県内首長の協調のもと、県民生活への関心は低い)などが興味深く、県政と市政の関係について日頃感じていることを整理する機会ともなりました。