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自治体学校参加報告 全世代型社会保障と介護保険の課題
市議会議員 宮下奈美

わたしは7月27日に静岡市で開かれた自治体学校2日目の分科会、立教大学・芝田英昭教授助言者の「全世代型社会保障と介護保険の課題」に参加しました。(11日付に関連記事)

「全世代型社会保障」の問題点について
芝田氏は、安倍首相が掲げた「全世代型社会保障」について、厚生労働省の白書の「すべての世代が年齢ではなく負担能力に応じて負担し支え合う『全世代型の社会保障』を目指す」を紹介し、「全世代に給付・配分される社会保障は魅力的であるが、「受益者負担を強調し、低中所得者には重い負担になるもので、注意しなければならない」と指摘しました。さらに問題なのは、全世代型社会保障の財源を消費税で賄うことにしている点だと指摘。そして、10%引き上げを既定路線にしているなど、苦しい国民生活の実態を無視していることも大きな問題だと強調しました。そのうえで、本来の社会保障のあり方について「生活問題を緩和・解決するための制度政策であり、そのことを通して生存権を保障する機能があるが、全世代型の社会保障はその観点がないがしろにされている」と述べました。
また、企業の社会的責任についても「社会保障政策には労働者の健康を維持・向上させる効果があり、労働者を雇う企業にとっても大きな恩恵を受ける点からも企業が相当の負担をするのが責務」だと指摘。「しかし派遣・非正規といった不安定就労の拡大を是正せず、さらに大企業中心に内部留保が急増していることや加えて法人税の優遇税制など企業の社会保障に対する責任が後退させられており、不安定労働をなくす政策や大企業の優遇税制の抜本的見直しが喫緊の課題」だと強調しました。

介護保険の課題は健康自己責任論
芝田教授によれば、安倍政権は高齢者等に対して、予防に力を入れて寿命を延ばすことなどを主張しており、しかし今の安倍政権のやり方は国民の負担を増やし、実際の介護・医療サービスの抜本的な向上にはつながらないもので「国民の願いには反している」と述べました。確かに、年をとっても健康に留意して、できるだけ介護状態にならないようにする健康保持はきわめて大切なことで、頼高市政もこれを重視しています。ところが安倍政権の元では予防が大事だと宣伝しながら、不健康な人や認知症の人に「生活習慣の改善や認知症対策を怠った人」「予防をしなかった人」とレッテルを貼り、集団から排除することになりかねません。健康と労働実態や所得格差には極めて密接な関わりがあり健康格差や経済格差を放置したまま、予防を重視することは病気の早期発見・早期治療を遅らせる危険があり、「格差を縮めることも同時に実施する必要がある」と強調しました。

おわりに―個人感想
社会保障が大きな転換期を迎えており、その転換次第によって保険料は増え、医療・介護などのサービスは後退の危機にさらされている実態を学び、今後更に、自分たちの生活を守るための声をあげていくことが重要だと実感しました。