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「無償化」・規制緩和策の影響と自治体の保育・学童行政-保育の質をいかに守るのか 

講演する逆井直紀氏
講演する逆井直紀氏
8月8日、保育研究所主催で地方議員セミナーが行われ、党議員団から宮下奈美市議が参加しました。

 セミナーでは、はじめに保育研究所の逆井直紀氏が「保育をめぐる状況の変化と制度・政策の動向」とのテーマで講演。逆井氏は、2015年4月に実施された子ども・子育て支援新制度について、大きな問題点は、「多様な受け皿づくりと規制緩和による保育の質の低下」だと指摘。待機児童数の増加にも関わらず、認可保育所数が15年の2万4千541園から、16年2万3642園、17年2万3519園、18年2万3508園と減少している一方で、認定こども園と地域型保育は大きく増加していると紹介しました。さらに市町村が関与しない企業主導型保育も加わったことについて、より複雑でわかりづらくなったうえ、保育を公の責任ではなく保護者と施設まかせにする危険性を指摘。14年に宇都宮市の保育施設で9ヶ月児が熱中症死した例等をあげ子どもが危険に晒される実態を示しました。

 来年度は新制度実施5年目の見直しの年に当たり、政府はこの年までに待機児童解消を掲げています。逆井氏は、その柱は企業主導型保育の推進や自治体独自の基準を緩めて子どもを詰め込む規制緩和であり「これでは子どもたちや保護者の願いに応えることにはならない」と強調しました。

さらに認可外の保育施設も無償化対象となる問題についても指摘。「保育の質が犠牲にされる危険性が大きいと言わざるを得ない」と主張しました。

 午後の部は、〇認可外保育施設を「無償化」対象にする影響〇幼保「無償化」対象にする影響〇先行自治体の状況等、のテーマで3人が報告。最後に、学童保育の状況と課題についての講演で終わりました。

 蕨市では、来年4月に定員69人の新たな認可保育園「(仮称)蕨錦町ゆたか保育園」の新設や既設「蕨ゆたか保育園」での約20人の定員拡大が予定されるなど、保育の拡充が図られています。宮下議員は、「学んだことを生かし蕨市の努力をさらに前進させたい」と感想を述べました。