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格差と貧困をなくす社会を〜社会保障をよくする蕨の会が学習会

講演する藤田孝則氏
講演する藤田孝則氏
11月11日、「格差と貧困、立ち向かう実践と課題」をテーマに、社会保障をよくする蕨の会の学習会が行われました。講師は、反貧困ネットワーク埼玉代表などを務める藤田孝則・聖学院大学客員准教授。参加者は50人ちかく集まり、党市議団の鈴木智市議、武下涼市議が出席しました。

 藤田氏は、はじめに「日本は、声を上げなければ問題なしとしてしまう社会」と述べ、憲法25条の権利の実現には不断の努力が必要と中心課題を強調しました。
続いて日本の相対的貧困率はOECD加盟国34か国中6番目に高いことや、約3千万の人が生活保護基準以下で生活していること、ひとり親家庭ではさらに貧困は深刻なこと、非正規雇用が大きく増えていることなど、実態を紹介。働いた賃金だけでは生活が苦しい現状に関連して、企業利益のうち労働者の取り分を示す労働分配率が低い実態を告発しました。また、一方で内部留保や役員報酬、株式配当は増えている実態を示し、「日本の大企業は人件費も、税金も、寄付も、何も払わない、何もしない」と批判しました。

 また、今後の対応に関しては、貧困解消と労働運動との共同で可能性が広がることについて言及。非正規雇用の増大や低賃金、パワハラや非人間的な労働環境などが、低賃金や貧困の拡大、中高年の引きこもりにつながっていると指摘し、「企業に要求すること」の重要性について訴えました。そして、福祉国家を目指す立場から「脱商品化政策」を提唱。教育や医療、介護、保育、住宅など必要なものを、商品として購入するのではなく、国などが提供する社会、北欧の国々に近い考え方で、交通や通信などまで民営化に走る日本とは真逆の在り方です。

 最後に藤田氏は、社会保障や人権を守る運動を続けてきた市民運動などの努力をたたえ、「この運動がなければ、社会保障制度も賃金も一気に悪化していた」と発言。さらに、運動を若い世代にも広げていくことについて展望を語りました。

 参加者からは「元気の出るいい話が聞けた」などの感想が寄せられました。

 この後、鈴木智議員が、厚生労働省が蕨市立病院を含む424の公立・公的病院を「統合再編の議論が必要」として公表した問題について解説。「市立病院が、近隣で必要な病院であるとの共感を広げよう」「政治を変えるために運動を広げよう」と強調しました。