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あらたなメディアとの関わり
コロナ禍の子どものメディア依存と健康被害(下)

「あらたなメディアとの関わり(上)」(民主わらび11月4日号)はICT等の心身への健康被害について等を、問題提起しました。今号の(下)は、スクールGIGA構想について掲載します。

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GIGAスクール構想の前倒し
コロナ禍で学校が休校になり、急浮上したのが補填措置としての「オンライン授業」や「ネット配信授業」です。

経済産業省主導のICTによる教育改革「GIGAスクール構想」の前倒しは、全国全ての小・中学校にPCかタブレットを配り、日本の学校教育を根本的に変革しようという構想です。もともと2020〜23年の4年がかりで実施される予定でしたが、コロナ対策により補正予算の中に一気に盛り込まれ、学校現場に戸惑いが広がっています。そもそも「GIGAスクール構想」について、現場の先生たちは詳細な情報を知らされていないところに、「コロナ禍」において、いきなりオンライン授業実施、ということになったのですから経験不足は当然のことと言えます。

明治の初めに始まった日本の近代公教育は寺子屋などの私費私教育から脱却して貧富の差や家の教育環境の違いに関係なく誰もが学校という場に通って、同じことを学ぶという公平さをその柱に据えていました。そして学校という場で、仲間と切磋琢磨することも重要な要素でした。

コロナ対策は、そうした近代公教育のあり方を根本から揺さぶることになり得ると言っても過言ではありません。

GIGAスクール構想の課題と検討
このような状況をふまえて2020年度、子どもとメディアについて取り組むべき課題は「GIGAスクール構想」への対応です。学校現場にしてみればコロナ休校への対応に追われる最中に突然降ってきた課題で、教職員の研修や児童・生徒へのネットリテラシー教育など問題は山積みです。

成長段階の子どもが大人と同じように、もしくはそれ以上にメディア機器に触れることにより、睡眠不足や視力の低下、特に眼科医が心配しているのは眼の球が中央に寄って戻らない、いわゆる「寄り眼」状態になる「急性内斜視」の増加です。他に脳機能への影響やコミュニケーション能力についてなど、健康被害への問題を同時に考え、心身ともに子どもたちの健康を守っていくことが今問われています。本来ならば、国が政策を考えていくべき課題だと言えますがそこまでできていません。

本市は、これまでアウトメディア宣言を行い、メディアが子どもたちへ及ぼす健康被害について、自らが考えて政策を打ち出す等の様々な取り組みを行ってきました。しかし、これまでは「メディアに関わる時間をいかに工夫するか」についてです。今後は子ども自身が健康被害を含めどのようにメディアと向き合っていくのか、あらたなテーマとして考えていかなければなりません。