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自治体学校レポート(1)
「コロナから何を学ぶか」記念講演を視聴して
市議会議員 やまわき紀子

内山節氏による記念講演(DVDより)
内山節氏による記念講演(DVDより)
自治体学校の特別講演として「コロナから何を学ぶか」と題して哲学者の内山節氏が講演しました。特別講演について紹介します。

内山氏は、これからは、コロナ下の政治と社会変容によってもたらされた様々な荒廃と向き合わなければならなくなる。人々の孤立化、分断はすすみ地域間の分断もこの社会を衰弱させていく。ゆえにコロナと向き合うだけではなくコロナ下の社会とむきあうことが私たちの課題となる。この課題に応えるために、かつてのファシズム下のドイツを振り返りながら、危機と政治の関係を考え、同時にこれからの方向性として地域自治や国と地方、地域の関係のとらえ直しが必要と述べました。

はじめに、コロナは撲滅できるものではなく、コロナも自然の生き物であるという視点が必要であると話しました。恐竜が滅びたときのように地球の生態系は変化するものである。コロナとも共存していくことになる。

コロナ下の課題については、感染防止や経済よりも、より重要な課題は、ともに生きる社会を維持する事にある。爆発的な感染拡大は社会維持を困難にするので防がなくてはならないが、社会を維持するための行動や活動、相互関係を持つことによって保証されるものである。コロナ下の関係維持には例えばクラウドファンディングのような新しい方法もある。田舎や地方部は都会と違ってコロナになりにくく、ワクチン接種もすぐに終わる。小さいわが村、我が町のほうが有利になってくる時代にある。そこで地域概念を大胆に転換していく時でもある。

最後に、コロナによって明らかになった現代社会の問題点を克服するためには、国が中心ではなく、地域が中心になれる仕組みになっていかなければならない。市町村のような地域行政と地域住民の自発的な連携を作りだし、コロナとともに共存する社会のあり方をつくっていこうと呼びかけました。

内山氏の講演を聞いて、コロナ禍の元で国からのおしつけではなく市町村や地域に権限を持たせ、コロナと共存した社会づくりへと踏み出す可能性があるという視点は大変勉強になりました。やはり最後は地方自治・住民自治が大事であると強く思いました。