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個性を活かして選ばれるまちづくりをテーマに
全国都市問題会議報告 その1(市議会議員 鈴木智・やまわき紀子)

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全国からおよそ2000人の自治体関係者と学者、研究者などが集まり、都市問題や行政課題について話し合う「全国都市問題会議」が13日〜14日に長崎市の出島メッセで開催されました。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今年が3年ぶりの開催、長崎市で開かれるのは初めてです。

 蕨市議会からは13名の議員と職員2人が参加。頼高蕨市長や市民生活部長らも参加しました。

 1日目は開会式に全国市長会の立谷秀清相馬市長があいさつ。続いて開催市の田上富久長崎市長は「コロナ禍は大切なもの、足りないものを気づかされる機会となった」と述べ、地方自治の役割にふれながら参加者を歓迎しました。

 以下、基調講演と主報告について紹介します。

【基調講演】
 ジャパネットホールディングス代表取締役社長の?田旭人氏が「民間主導の地域創生の重要性」〜スタジアムシティプロジェクト〜と題して講演を行いました。
 高田氏は、長崎市で計画を進める「長崎スタジアムシティプロジェクト」など、地方創生に関する取り組みを紹介しました。
 会社が地域創生に取り組むことに関して、「見つける」「磨く」「伝える」ことは、通信販売もスポーツ地域創生も同じであるとの考えを表明。また、 行政の役割は「公平性」であり、そこがしっかり取り組まれるからこそ、民間企業の役割として「幸福の最大化」を目指すことができるとの見解を示し、行政との連携の重要性を強調しました。
 さらに、 「長崎スタジアムシティプロジェクト」の目指すところは、長崎の地域経済の発展や地域への誇り、住民自身の幸福度の上昇をめざしていくことと、基本的な考えを述べ、具体的な事業内容を紹介しました。最後に「これだけ魅力的な文化があって歴史があっておいしい食べ物があって素晴らしい人間がいてそういう地域を我々が見つけてきて一緒になって磨いていくそれを日本中に伝えていく。そうすることが我々の強みを生かして地域に貢献できること」であると述べ、長崎での地域創成の成功モデルを紹介し、民間の強みと弱み、公共の強みと弱みをお互いに理解して手を組んでいきたいとまとめました。
【主報告】
 長崎市長の田上富久氏が、「長崎市の魅力あるまちづくりー100年にいちどの長崎」と題して講演。
 田上市長は平成の大合併によって市の面積が広がった中で、人口減少が進んでいることを踏まえて地域機能を維持させていく取り組みを報告しました。
 はじめに、「人口減少(少子高齢化)が進み、さらにコロナ禍により時代は変革期にある。そんな中、価値観の多様性により、人口の多さや経済力の高さといった価値よりも、暮らしやすさ、歴史・文化の深さなど、この新たな価値を求めて都市から地方へと新たな人の流れが見えてきた。もう一度、自分たちが住んでいるまちの価値を見直すことで人を惹きつける魅力と新しい時代への多様な都市の在り方がみえてくる」として4つの視点からまちの「価値」を見つめなおした長崎市のとりくみを紹介しました。
(1)価値をみつける(軍艦島、恐竜博物館)
(2)価値に気づく(まち歩き「長崎さるく」=まちの歴史を振り返る。住んでいる人がまちに愛着をもつ)
(3)価値を磨く(景観専門監制度の導入で鍋冠山展望台、出島表門橋、遠藤周作文学館、まちぶらプロジェクト等を整備・改修)
(4)価値を生み出す(高度教育の環境がまちにある。「老朽化家屋」除却後の土地を農地に利用し若者中心のとりくみへ発展。「地域課題」が「資源」になるという発想の転換)
 
最後に「『価値』に気付くためには交流は欠かせない。訪れる人『風の人』と暮らす人『土の人』の交流により新たな価値がみつかり、磨かれ、まちの価値が創られて行く」「周辺地域にない機能が必要になった時には真ん中にある都市部の機能がいつでも使えるようにして、コンパクトさとネットワークを組み合わせ、合併により広がった長崎市の中でも活力と暮らしやすさを維持していこうとしている。まちで暮らす人も訪れる人にも魅力的なまちとなり、持続可能な地域社会の構築につながるものと考えていく」とまとめました。