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多摩自治研の議員の学校で住民自治を学ぶ

8月19日、NPO法人多摩住民自治研究所主催による、議員の学校スペシャルが開催され、3日目の池上洋通氏(議員の学校・学校長)による講義に参加しました。

 基礎講義では「基本的人権の内容とそのすべてを具体化する地方自治」と題して講演が行われました。
その概要を紹介します。

○日本国憲法がさだめているすべての個人に対する基本的人権を一つ一つ認識ー
権利は与えられるものではなく得るものであり、明治憲法の前に作られたフランスの権利宣言では「人に譲り渡すことができない神聖な自然的権利を厳粛な宣言において提示することを決意した」などと述べているように明治憲法にもきちんとその権利は述べれていた。
○新しい人権―憲法が制定された後から確認された人権があるー人権は自然権に由来するものだが、それを発見し、実現するのは個人・集団の主体性によるものであるとして、こどもの権利や障がい者の権利、難民の権利、ジェンダー平等などが後からつくられたものである。
○すべての人権をすべての個人に保障するのは基礎的自治体・市町村であるー 住民生活の経済的現実は生活保護率は戦後とほぼ同率であり、非正規職員は増え、小規模企業の減少は著しい現実がある。
○人権実現の体制と財政力はととのえられているのかー自治体での公務員の削減と非正規化の進行で市民の担税能力はおち、民間委託が進んでいる。

 この講義の最後に人権を守る、憲法を守ることは大切なことである。すべての力を使って憲法を守るべきだと池上氏は述べました。

 続いて、「地方議会についてその基本から理解する」と題して講演。
○地方議会の目的とその重大な役割について、地方自治法から議会の基本を理解するー議会には条例により刑や過料を市民に科すことができる司法権も持っている。だからこそ、起こっているすべての事実を客観的に把握することに徹底すること。住民自治とはなにかに一つ一つ向き合う。
○住民生活を基礎にすえた議会活動をどう進めるのかー住民に支えられ住民全体に対する奉仕者として働く議会と議員として、現場的学習、地域住民活動についての学習など住民生活をきちんと把握する能力を備えること。
○議会活動に求められる民主制と科学性と会派性の課題ーだれもが思想の自由をもち政治選択の自由を持つものとして会派性は容認するが、住民生活の大半は党派とは無関係で利害が一致しているものであり、共同的議会として働いていくべきである。
○中央政府・都道府県政府と対等の立場から議会活動を展開する重要性ー国民主権の歴史的・現場的な根拠は住民自治・住民主権であるため、「住民」の概念意識にたつことの重要性。

 最後に、議会活動の民主的・科学的発展こそが、憲法の基本理念を具体化する道であり、現場での住民ひとりひとりの声を具体化することにつながる。議員として価値観のゆれ、あいまいさが心配される。集団的ものの考え方、集団的学習をきちんとやるべきであると話し、講義は終わりました。

 本気になって学び、実践する。展望をもつことの大切さを改めて池上氏から教えてもらうことができました。

 その後の意見交換では、住民投票や、公営ギャンブル、ふるさと納税などについての質問がだされ、講師が答えていました。