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歴史と向き合い「和解」の努力つづけるドイツの教訓

ドイツ大使の講演に学ぶ 市会議員 鈴木 さとし
 蕨市の友好都市ドイツ・リンデン市との交流を支える蕨・独リンデン市民交流協会主催の「駐日ドイツ連邦共和国大使・講演会&懇親会」(7月16日)に出席しました。
 この日、ハンス・カール・フォン・ヴェアテルン駐日大使は、県内の企業や大学などに続き、最後に蕨市を訪問。同時通訳を介し、「シュタインマイヤード・ドイツ外相来日及び安倍首相訪独後の日独関係」をテーマに講演しました。
 大使は、サッカーワールドカップでの交流に続き、日独両政府の交流と成果を紹介。両国間の制度や認識の違いと共通する課題についても触れ、「ともに解決の意思があれば学ぶところが大きい」「違いがあるからこそ、交流が実りあるものとなる」と述べました。
 さらに、今年が第一次世界大戦勃発(1914年)から100年の節目であり、1939年第二次大戦、ドイツにとって1989年壁崩壊と並び、多くの犠牲を伴う歴史の中で重要な年であることを紹介。続けて、「和解について」として、かつて日独も敵国同士の時代(第一次世界大戦)があり、同様に、欧州各国では戦争を繰り返した和解の失敗の時代が続いたこと、痛みを伴いながら歴史と向き合ってきたこと、最近の東アジア情勢と「和解」をすすめる人たちへの期待、対立の解消に向けたドイツの経験などを紹介し、「日本が望めばドイツが後押しする」と表明しました。
 私(鈴木)はこの講演を、激動の歴史を通して「過去」にも「現在」にも目を閉ざさず向き合ってきたドイツからの大切なメッセージとして受け止めました。もちろん、内容は大使としての節度を踏まえ、決して自身の見解を押し付けるものではありません。また、経済的な対日要求など見解や立場が違う課題についての率直な話もありました。しかし、ドイツが積み上げてきた歴史や努力は、日本にとっても貴重な教訓です。今日、日本では安倍政権の暴走政治の下で近隣諸国との対立が深まり、出口の見えない状況が続いています。こうした状況を打開し歴史を前にすすめる上で、侵略や虐殺など自国の負の歴史をも直視し、近隣諸国など国際社会との「和解」を積極的に進めてきたドイツから学ぶべきものは非常に大きいはずです。
 また、この講演会で配布されたドイツ大使館からの資料は、ドイツ紹介の1枚の案内と2冊の厚手のパンフレット「ドイツにおけるエネルギーシフト〜しっかり見てみよう 再生可能エネルギー」「想起と追憶〜第一次世界大戦・第二次世界大戦・壁崩壊」。ここにも、過去と現在、未来にもしっかり向き合うドイツの姿勢を感じました。
 貴重な機会を準備していただいた蕨・独リンデン市民交流協会のみなさんに心から感謝いたします。